6.30.2008

『007 カジノ・ロワイヤル』

こんなのは007じゃないです。。。

これは、007の新人時代を描いた映画。内通者2人を殺し、「00」に昇格したばかりのジェームズ・ボンド。

“新人”と言っても、もちろん新卒などではなく、おそらくアシスタント的な仕事に従事していたので、年齢的には30代半ばといったところでしょうか? いや、もしかしたら全く違う仕事していたのを、スパイへの憧れが捨てられずに転職したのかもしれませんし、公務員として勤務していたところ、スパイとしての適性を見抜かれ職種変更したのかもしれません。

まあ、そんなことはどうでもいいのですが、まだ若く血気盛んなボンドは、組織の命令を無視して向こう見ずな行動に出たりしてしまうわけです。ところが、経験が浅いだけに、人を信用した挙句裏切られてしまったり。。。

ストーリーはいいとしましょう。問題は演出です。何なんでしょうこのシリアスな雰囲気は? 確かにニュー・ボンド役のダニエル・クレイグはかっこいいです。でも、あまりに隙がなさすぎて、人間味は感じられません。カジノでのカードゲームのシーンをあんなに長くやる必要はあったのでしょうか? ちなみに僕はバカラというゲームのルールを知らないので、さっぱり理解できませんでした。敵に捕らわれて拷問されるシーンなんて、見ていて本当に気持ち悪くなりました。007の魅力って、そんなところにはないでしょうに。

僕は忘れません、イギリスの映画館で007を見たときのことを。ものすごいアクロバットを見せ、人がバタバタと死んでいくアクション・シーンにもかかわらず、映画館は爆笑の渦に包まれていたのでした。ボンドがあり得ない状況から無事に帰還したシーンなんて、スタンディング・オベーションです。

そう、007シリーズはイギリス人にとってコメディなのです。皆、笑いを求めに来ているのです。なのに、今回の製作者は何を考えているのやら。マンネリを打破したいという思惑は感じられましたが、これはもはや別モノです。すぐに元の路線に戻すことを要求します!