9.29.2009

アメリカ人が驚愕した日本のラッピング技術

先日、アメリカ本社のコンサルタントが1日だけやってきて社内研修を行っていきました。最後にお礼ということでデパートで買ってきた焼き物をプレゼントしたのですが、彼女が一番驚いていたのが実は包装でした。

荷物の中で割れないようにと厳重かつ丁寧に包んでもらったのですが、そのホスピタリティとピシっと折り目のついた美しさは、(一般的には)ガサツなアメリカ人からすれば神業の領域だったのでしょう。今では過剰包装ということで忌み嫌われることが、異文化では大きな価値を生むのですね。

9.23.2009

『Man in the Dark』/Paul Auster

本国アメリカでは昨年出版されたポール・オースターの新作。『New York Trilogy』もそうですが、オースターの小説は英語も平易でとても読みやすい。

自動車事故にあった72歳の老人が、病床で自分の過去を振り返ったり空想の世界に入り込んだりするというもの。映画制作を学ぶ孫娘との映画に関する“論考”(小津の『東京物語』が大きくクローズアップされています)。9.11を経験せず、イラク戦争がない代わりにアメリカ国内に起こっていた東西内戦というパラレルワールドに放り込まれた若い男の“物語”(村上龍の『五分後の世界』を彷彿とさせます)。自身の結婚生活の喜びや悔恨を孫娘に聞かせる“自叙伝”。これら現実と空想世界が並行して進みながらもシンクロしていくあたりは、まさにオースターの面目躍如といったところ。老人の人生を通じて家族の大切さや反戦への祈りを込めた、とてもメッセージ性の強い小説だと感じました。

題名のMan in the Darkは、直接的には病床の老人のことでしょうが、国際舞台で暗中模索するブッシュや保護主義に傾斜するアメリカ国民のことも暗示しているのでしょう。

9.21.2009

『コズモポリス』/ドン・デリーロ

現代アメリカ最高の作家の一人と称されるドン・デリーロ。いつかは読まねばと思っていたので、この連休を機に手にとってみました。

2000年頃のニューヨークを舞台にした、金融マンの日常を追った物語。金融会社を経営する主人公は、ハイテクリムジンに乗って街中を疾走し、電話で部下に指示を出す。円相場の上げ下げに一喜一憂し、巨万の富を稼ぎながらも心の底からの満足を得られていない様子。そのうち何者かに命を狙われていく。

金融マンの虚無を描いた点はリーマンショックを予見していたかのよう。ただ、主人公の陥る精神世界や破滅へと向かう道程が難解で、とにかく分かりにくい。登山のような読書体験でした。そして、当のアメリカ人がこれを読んでどう思うのか聞いてみたいところです。

9.20.2009

白洲次郎はなぜプリンシプルを貫けたのか?

NHKハイビジョンでドラマ『白洲次郎』を再放送していたので、3話4時間半を一気に見ました。

う~む、白洲次郎という傑物の人生をなぞっただけで、正直ドラマとしては物足りない。戦中戦後の日本という背景で、あれだけ波乱万丈の人生を送った人だもの、それなりの見世物にはなるでしょ。どうせなら、本人がどのようにして自身のプリンシプルを築きあげ、なぜいかなるときもそれを貫くことができたのか、そこまで描いてほしかった。そうでないと、ただの恵まれた境遇に育った男の物語で終わってしまう。今ドラマ化するのなら、そこまで突っ込んでもらわないと、メッセージ性は乏しいです。

9.19.2009

念願のBOSE。

ちょっと前ですが、念願のBOSEのWave Music Systemを購入しました。

これにより、ついに我が家にもまともに音楽を聞ける設備がそろいました。なんせそれまでは、妻が10年ぐらい前に購入した安物のミニコンポを使用。カセットテープを装備していたことからも、どれくらい年季の入ったものだったかは想像がつくでしょう。でも、これが使えるうちは買い換えてはいけないというような暗黙の決めごとがあり、このたびCDが音飛びしたのをここぞとばかりにアピールしてリプレイスへとこぎつけたのでした。

Wave Music Systemは小さいのにほんと音がいい。また、とにかくシンプルで余計な機能がないのもいいですね。テレビにつないで映画やスポーツを見ると、非常に臨場感のある音が楽しめます。家にいながらにして映画館のような音質で、DVDをレンタルしてくる喜びが増えました!

9.18.2009

『日本の雇用--ほんとうは何が問題なのか』/大久保幸夫

非常に興味深く読ませていただきました。もっと評価され、話題になってしかるべき良書だと思います。

リクルートワークス研究所の所長だけあって、豊富なデータで裏づけを取りながら、現在の雇用問題について鋭く切り込んでいます。

特に印象に残ったのは以下の点:
・雇用ニーズは経済活動の必要性から生まれるのであり、経済の活性化を経ずに国が雇用を作り出そうとするのは愚行。
・短期時間労働のニーズがない日本にワークシェアリングは根付かない。
・失業者の7割は失業給付金をもらえていないという雇用保険の限界。
・非正規社員を「ある種の」正社員にすることで、正社員を多様化するという提案。

雇用されている人がそれぞれの立場から理論武装しておくのに最適な1冊だと思います。

ところで、この本は講談社現代新書から出ています。新書ブームの中ですっかり影が薄くなった気がしますが、僕が高校生の頃は新書と言えば岩波か中公かこの講談社現代新書しかありませんでした。最近はタイトルだけ刺激的で中身はスカスカという週刊誌みたいな新書が多い中で、本書のシンプルでストレートなタイトルと重厚で骨太な議論は好感が持てました。

9.17.2009

レタス1個110円、ルッコラ1パック68円。

この街に住んで約1年半。都心からも比較的近く、川など自然が近くにあり、パン工場のいい匂いが漂ってくる今の部屋が非常に気に入っているのですが、今日、その良さをもう一つ再認識しました。

それは物価が非常に安いこと。このところ隣町の大きなスーパーなどに買い物に行くことが多く、野菜の値段がやたらと高騰していて困っていたのですが、久々に地元のスーパーに行ってみたところその値段にビックリ。レタス1個110円、ルッコラ1パック68円などいまどきの相場では破格の値段に、思わず「○年前の価格です」というさおだけやの売り文句を思い浮かべてしまいました。これが川を渡った山の手の街だったらいくらになっていることやら。

なぜ安いのか? それは色々な仮説を立ててみているのですが、また後日。

9.15.2009

『こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる』/魚谷雅彦

コカ・コーラは嫌いですが、コカ・コーラのマーケティングやブランディングには興味があります。また、著者の魚谷雅彦さんにも、以前に何かの本で目にして以来興味がありました。そんなことで読んでみたのがこの本。

世界最高のブランドとして知られるコカ・コーラ。しかし、本書では本家コカ・コーラのブランディングよりも、日本コカ・コーラのローカルブランドであるジョージア、爽健美茶、QOOなどの事例がメインです(その意味で「120年変わらぬ商品が、今も売れ続ける理由」という帯のコピーは、やや偽りあり?)。YouTubeで当時のCMを見ながら読み進めていきました。

面白かったのは、著者がアンチ・マーケティングとも言えるような通常のセオリーを無視したマーケティング手法を実践してきたこと。市場調査など科学的根拠を頼りにするのではなく、“直感”を混ぜながら戦略を決めていき、周囲の反対を押し切っていく。このあたりの精神は、B to Bのマーケティング関係者にも役立つ情報だと思われます。著者のマーケティングにかける思いには感服します。

残念だったのは、マーケティング・コストやCM効果による売上・利益率の推移といった数字の話がほとんど出てこなかったこと。売上に結びつかないマーケティング活動は意味がありませんから。潤沢な費用を投下していたであろうことは容易に想像つきますが、一般企業のマーケターの感覚からは大きく離れるかもしれません。

グローバル・カンパニーで活躍する人物のキャリア・ストーリーとして読んでも興味深いです。

9.14.2009

面倒なときにはお手軽和風パスタ。

一人暮らしに戻ってから最初の平日。帰宅後ビール飲みながらシドニーの妻とskypeしてたら無性にお腹が空いたので、和風パスタを晩飯に作ることにしました。

しいたけ、えのき、しめじ、など家にあるキノコ類を適当な大きさに切り、ニンニクのみじん切り、鷹の爪、和風だし、醤油、酒をどんぶりに突っ込んでラップしてレンジで3分。すべて目分量。たまたま冷蔵庫にしそがあったので、これもまぜて。あとは茹でたパスタと和えるだけという、超お手軽なパスタです。パスタのゆで時間を除けば、調理時間は正味5分程度。

この先もパスタが増えそうな予感です。

9.13.2009

『ブロークン・イングリッシュ』

あのジョン・カサヴェテスとジーナ・ローランズの娘、ゾエ・カサヴェテスの監督デビュー作。どうせ親の七光りだろうし、タイトルとスチール写真からチープな恋愛ものだろうと推測し、あまり期待しないで見たら、意外と奥が深く印象的な映画でした。

平たく言えば、ニューヨークを舞台にした30代独身女性の婚活映画です。主人公ノラはきれいで性格もいいのに、いい出会いに恵まれず、自分が世界一男運の悪い女だと思っている。ところが、気乗りせずに行ったパーティーで帰り際にフランス人のジュリアンと出会う…。

これだけで展開は読めてくるものですが、実はジュリアンを追って行ったパリでの自分探しがメインテーマ。仮にこの映画を前半(ニューヨーク編)と後半(パリ編)に分けるとしたら、これほど雰囲気ががらりと変わってしまう映画も珍しい。前半は典型的なアメリカ映画っぽく、後半は観客に答えを委ねるような終わり方に象徴されるようにフランス映画っぽい。正直、男目線からすれば解せない場面も多々あるのですが、同じような境遇の女性は大いに共感するのではないでしょうか。僕の周りにもノラのような女性がいくらかいるので、オススメしよっと。

映像がとても瑞々しく印象的です。中でも驚いたのが、ニューヨークを撮るのがうまいこと。さすがカサヴェテス家の血筋を引いている?

『グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業』/夏野剛

10年ほど前にiモードを立ち上げ、携帯コンテンツビジネスの土台を築いた著者が、いまどきのウェブ/携帯ビジネスについて物申した本。

ウェブさえ立ち上げれば何か始まると勘違いし、ウェブビジネスの本質を理解しようとせずに、肝心のユーザーを軽視してしまっている旧体質の経営者を糾弾しています。会社で(一応)ウェブを担当している僕にも耳の痛い指摘でした。うちのボスにも読んでほしい(日本語読めないけど)。

それにしても、この人は何をこんなに怒っているんだろう? 自分が日本のウェブ/携帯ビジネスを立ち上げたグルである、という自負心が鼻につかなくもないです。言っていることは正論なのにもったいない。感情的にならない、冷静な議論が待たれるところです。

9.12.2009

『恋のゆくえ ~ファビュラス・ベイカー・ボーイズ~』

先日BSでやっていたので録画。20年近く前、高校生の頃に見て強烈に印象に残っている映画です。大人な映画だな~って、その世界観にたまらなく憧れたのを覚えています。

酒場をどさまわりしていたしがないピアノデュオ兄弟が、女性シンガーを入れたことから一気に売れるようになる。ところが、弟と女性シンガーが恋に落ちてしまったことから歯車が狂い始める…。という、ありがちなストーリーなんですが、脚本に無駄がなく、出演者たちの演技もいいので、お洒落で秀逸な作品に仕上がっています。マイ・ファニー・バレンタインをはじめとするジャズのスタンダードまで楽しめるというオマケつき。邦題はひどすぎですが。。。

恋に落ちてしまったものの、プライドが邪魔してしまったり、駆け引きを繰り広げる2人の心情が、今ならよく分かります。

9.11.2009

妻が留学に行きました。

本日、妻が1年間のオーストラリア留学に出発しました。

最初は抵抗したのですが(心情的にも、財政的にも)、どうしても今のうちに行っておきたいと言うものですから。長い目で見たら、1年くらいどうってことないと思うし。そこで中長期視点での投資というスタンスで送り出しました。しっかりものの彼女のことですから、年利20%くらいの利回りは達成してくれるでしょう(笑)。

ということで、9.11というタイミングで出発。会社休んで成田くんだりまで片道2時間強かけて見送りに行ってきました。

こちらも久々の一人暮らし、存分に楽しませていただきます。時間もできたし、そろそろブログを再開しようかと。