6.24.2008

『ザ・マジックアワー』

これは傑作です! 約2時間の上映中、あきることもなく、笑い続けた映画は久々でした。

この映画が面白いのは、すべての要素が大げさなくらいに“作り物”っぽいから。

マフィアのボスの女に手を出してしまったことから、組織に追われる身となった口から出任せ男(妻夫木聡)。その男に「伝説の殺し屋を演じてほしい」と言われ、映画の撮影だと信じきったまま自己陶酔の世界をひた走る売れない役者(佐藤浩市)。明らかにドン・コルレオーネを意識しているマフィアのボス(西田敏行)。そして、3人の男を翻弄する魔性の女(深津絵里)。これら主要登場人物のキャラが立っているから、分かりやすいのです。

それに加え、安っぽいセット(もちろん意図的)も、脇役たちも、いい味を出しています。脚本も、すべての場面が後になって意味を帯びてくるなど無駄がありません。『カサブランカ』『ゴッドファーザー』などのパロディ(いや、オマージュか)と思われる場面もあり、笑えます。中でも、クールで“できる男”のイメージをかなぐり捨てた佐藤浩市の一世一代の名演技は必見です!

どれもフィクションだと分かりきっているからこそ、安心して笑うことができます。三谷幸喜、やりますな。

http://www.magic-hour.jp/