12.18.2009

Off to Australia!

本日より2週間ほどオーストラリアに行ってきます。サンタがサーフィンしているという真夏のクリスマスを満喫してきます!

12.06.2009

ワールドカップ決勝はスペイン対ブラジル?

ワールドカップの組み合わせが決まりました。勝手にシミュレーションしてみたところ、決勝はスペイン対ブラジルとなりました。あまりに妥当ですが。。。

個人的にはやはりイングランドに注目したい。組み合わせには恵まれましたし、ジェラード、ランパード、ルーニー、ファーディナンド、テリーといった主力が脂の乗っている今こそ、優勝するビッグチャンスだと思っています。南アフリカは英連邦の一部で地元みたいなもんですしね。

ところで、岡田監督がベスト4を目標に掲げていることに関して、ネガティブな意見がよく聞かれます。しかし、現実的かどうかは別にして、僕は岡田監督のこの姿勢は評価すべきだと考えます。どんな組織もそうですが、リーダーがコミットメントを示さないとメンバーはついてきません。「1勝1敗1分け」なんて現実的なことを言って惨敗に終わった98年の反省があるのでしょう。目標が達成できなかったら当然叩かれ、赤っ恥をかくわけですが、岡田監督が退路を断ってあえてリスクを取っているところに男気を感じます。

12.04.2009

ルパン三世はベルモンドだった!

ルパン三世が『リオの男』のジャン・ポール・ベルモンドをモデルにしていたということを知り納得。確かにあのしなやかな動きやひょうひょうとしたキャラは、ソックリです。

ちなみに、『ダーティーハリー』を見て、Wikipediaでダーティーハリー→クリント・イーストウッド→山田康雄(イーストウッドの吹き替え)→ルパン三世とたどって判明しました。Wikipediaってほんと面白い。見出すと止まらなくなり、あっという間に数時間経っているなんてことも。

12.03.2009

『SEOブランディング』/影浦誠士

素晴らしい本ですね。既存のSEO本とは一線を画しています。

SEOと企業ブランディングという一見無関係な両者ですが、本質的には同じだというのが本書の主張。小手先だけのSEO本とは違い、事業戦略とSEOをセットで考え、長期的視点でいかにユーザーからの信頼を獲得していくべきかを説いていきます。「京都にある農家」という架空の企業を例にしたSEO/ブランディングのプロセスを自社に置き換えることで、具体的にウェブ戦略を考えることができました。

12.01.2009

ジダンが頭突きしたワケ。

『Number』に興味深い記事が載っていました。

アルジェリア男性というのは、ケンカをするときに頭突きするそうです。アルジェリアの街角では老いも若きも、男性たちが頭突きし合っている光景がよく見られるそうです。それも特に怒りを覚えるのは、母親を侮辱されたとき。ジダンのあの頭突きの裏には、アルジェリア系男性(国籍はフランスですが)としての矜持があったんですね。

それにしてもすごいなアルジェリア人って!

11.29.2009

日本サッカーのレベルが上がらない理由。

この週末は久々にJリーグの試合を見に行ってきました。優勝争いのかかる川崎対新潟の試合。約3週間前にチケットを買った当時の情勢ではこの試合で川崎の優勝が決まるはずだったのが、先週の試合で最下位の大分に足元をすくわれ2位転落。この試合は是が非でも勝たなければならないという状況でした。実際、しびれるような試合展開で、終盤にようやく1点を取って川崎が勝利し、望みをつなぎました。

ところで、一つ残念な気づきがありました。自由席だったので場所を移動しながら観戦しており、せっかくの機会だからと熱心なサポーターのいるゴール裏にも行ってみました。そこで発見したのは、この連中がサッカーのことをあまり分かっていないこと。いいプレーや紳士的な行為があっても拍手が起きていないのです。そしてピンチでもチャンスでも変わらぬ一本調子の応援。要は応援することが目的化しており、騒いでいるだけなのです。サポーターの最前線で拡声器を使って音頭を取っている数名がピッチに背を向けて試合を見ていないのが何よりの証拠。これじゃあ、日本サッカーのレベルは上がらないな、と残念な気持ちでスタジアムを後にしたのでした。

11.22.2009

『のめり込む力』/川上真史

非常に素晴らしい本だと思いました。今、職場で人々が感じているであろう問題点を冷静に分析し、対処方法を提示しています。

本書の主張を簡単に言えば、以下のようになると思います。日本が成熟社会を迎え、社員の働く動機が変わってきている。また、仕事の難易度も以前に比べ格段に上がっているため、古いパラダイムの仕事論はもはや通用しない。なのに多くの日本企業は、これまで通りポストや収入といった「外的動機」に訴えることで社員の働く意欲を高めようとしている。今後は社員が自ら楽しむという「内的動機」を軸にした働き方がメインになる。そのためには企業側は感興を整備し、社員側も自ら楽しみを見つけることが必要になる、というものです。

個人的には、抽象的な事象を科学的に整理している点が良いと思いました。例えば、ソーシャルパワーを5つに分類し、正当パワーを発揮すべきという指摘。ストレスの問題をストレッサー(原因)とストレス反応(結果)に分けて考えるべきという指摘。

各章の終わりにポイントがまとめられており、要点を復習できるようになっている工夫も親切です。

11.21.2009

『下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉』/内田樹

約2年半ぶりに再読。アマゾンのレビューを見ると賛否両論あるようですが、この本は難しいことを考えずに教育問題について書かれた気軽なエッセーとして読むのが正解です。実際、著者の講演内容をまとめたものなので、口語体でとても読みやすいです。いまどきの子ども・若者について疎かった僕にとって驚愕の内容が多く、非常に興味深かったです。

学級崩壊や勉強しようとしない子どもたちのを等価交換という考え方によって説明している点は、大きな発見でした(ただし、等価交換は諏訪哲二さんの説を引用したもの)。何の役に立つかも分からない勉強をさせられるという苦役に耐える代わりに得られるものは何なのか。教育をビジネスライク捉えてしまうのは、物心ついたときから消費主体として生まれ育ったゆえである。現在、社会問題となっている様々な事象をこの等価交換説によって読み解いていくあたりは、実にスリリングでした。

11.16.2009

『男おひとりさま道』/上野千鶴子

これは全男性必読の書でしょう。

前著『おひとりさまの老後』のあとがきに対する回答の書とも言え、上野先生の言う「女に愛されるかわいげのある男」になるための方法も述べられています。

前著に比べてより現実的な内容になっており、読んでいて暗くなることもありました。が、これは老後のことなんて考えたことがないであろう世の男性に向けた、「現実から目をそむけるな」という著者からの愛のムチだと思われます。中高年はもちろんのこと、今を楽しんでいる若い男性にこそ読んでほしい!

11.13.2009

初のミシュラン三ツ星。

先日、会社の人にジョエル・ロブションにランチに連れて行ってもらう、という役得に与りました。

もはや話題にもならなくなりましたが、僕にとっては初のミシュラン三ツ星店。紫色のラウンジや調度品にいちいち感激しつつ、濃密なロングランチを楽しんできました。肝心のお味の方は、もちろんおいしかったのですが、あまりに非日常すぎてよく分からなかったというのが正直なところ。

10.26.2009

『モウリーニョの流儀』/片野道郎

ジョゼ・モウリーニョはサッカー監督として、人間として、実に興味深い人物なのですが、これまで日本で出版されていた書籍というのは外国で書かれたものの翻訳ばかりでした。そのため、感覚や語調に違和感を覚えることがあったのは僕だけではないでしょう。本書の価値は、恐らく初の日本人著者によるモウリーニョ本ということにつきるのだと思います。

モウリーニョがインテルの監督となって1年目の2008-09シーズンに絞ったノンフィクションとなっており、自分のスタイルをイタリアに持ち込み、イタリアの現実に最適化していくまでを克明に描いています。自分のスタイルに固執しすぎることなく柔軟に現状に適応させていくあたり、プライドが高く我が強い選手たちを信賞必罰によってモチベートしていくあたりは、リーダー論としても秀逸です。また、売られたケンカは買う、というポリシーに基づいたメディアやライバルチーム監督との丁丁発止のやりとりは読んでいて実に爽快でした!

10.24.2009

『村上式シンプル仕事術』/村上憲郎

正直ガッカリしました。グーグル日本法人名誉会長の仕事術ということで、少しは期待していたのですが。

タイトルにある「仕事術」に該当する内容は第1部のみで、分量としては本書の1/3程度。それもさらっと読めるので、立ち読みでも十分でしょう。

第2部と第3部はビジネスパーソンとして知っておくべき宗教と経済学の概論。ただし、著者の解釈を述べただけで詳細は他に本を読んで学べという姿勢なので、あまり親切ではありません。書籍紹介が目的と言っても過言ではなく、キックバックをもらっているのではないかと勘繰りたくなるほどです。

ガッカリの極め付きは第4章。文系人間をこれでもかというくらい小バカにしています。

この程度の人が日本法人名誉会長なら、グーグルも大したことないな、とまで思ってしまいました。

10.18.2009

『人生を決めた15分 創造の1/10000』/奥山清行

フェラーリのデザインで知られるプロダクト・デザイナー奥山さんの仕事論&スケッチ集。

2500円という値段の高さからも、いわゆるデザイン本の類になるのでしょうが、それだけに終わらず、GM、ポルシェ、ピニンファリーナなど海外企業でカーデザインに取り組んできた奥山さんならではの鋭い論考が満載です。特に冒頭にある、フェラーリ会長がヘリコプターに乗り込む15分の間にスケッチを描き上げ、会長を説得したというエピソードには震えました。ただ、指摘の多くが批判的な意見だけで終わっており、じゃあどうすればいいのかという改善点まで提示できていればなおよかったと思います。

また、文章と図版が同ページに載っているのにシンクロしていないのも残念。掲載できる図版の関係上難しかったのでしょうが、それならそれで他のレイアウト方法もあったのでは? せっかくだから、ブック・デザインにも奥山さんらしさを発揮してほしかったところです。

10.17.2009

Moleskine 2010。

少々気が早いようですが、2010年の手帳を購入しました。もちろん、モノはお気に入りのMoleskine。今年は目新しいソフトカバーを使用していますが、どうもしっくりこなかったので来年はハードカバーに戻しました。

仕事のスケジュールを立てるために必要になったというのが直接のきっかけですが、早めに先を見越して計画を立てられるというのはいいものです。年の瀬になってバタバタと手帳を選ぶよりは、はるかに心に余裕を持って新年を迎えられ、さらにはいい1年を過ごせるのではないかと思っています。

10.14.2009

『資本主義崩壊の首謀者たち』/広瀬隆

信頼できる著者による信頼できる書ですね。新聞やテレビなど一般のメディアとばかり接してきた人たちには結構ビックリな内容かもしれません。

他にも今回の“金融危機”(本書によれば“金融腐敗”)の悪玉を告発した本はありますが、信憑性の薄い本も少なくありません。その点において本書は、著者の過去の実績からも十分信頼に足る裏づけがなされていると考えられます。

内容的には、米紙に載った風刺漫画を織り交ぜながら楽しく読み進められるようになっています。

10.10.2009

『ザ・バンク 堕ちた巨像』

この春公開され気になっていた映画がDVDになったので早速レンタルして見ました。

欧州の巨大投資銀行の裏取引をニューヨーク市警やインタポールが共同で捜査するが、核心に迫りそうなところでいつも重大な関係者が殺されてしまう。最後はもはや主人公の執念で頭取にたどり着くが、頭取もトカゲの尻尾だったというようなオチ。

公開時は「金融危機を予言した映画」のような宣伝の仕方でしたが、直接的には関係のないサスペンス映画です。ただ、映画中に出てくる「みんなグルなんだ」「俺を殺しても次がいる」のようなセリフからは、メガバンクや大企業、そして政府までもが関与している“陰謀論”を想起させます。世界の暗部を告発しようという製作者たちの心意気が感じられました。もし日本の配給会社がそこまで考慮した上であのようなプロモーションをしたのだとしたら大したものです。でも、それならば『ザ・バンク 堕ちた巨像』なんていう本質とズレた意味不明なタイトルはつけないか…。

個人的には、ベルリン、ニューヨーク、ミラノ、イスタンブールなど大都市を舞台にした映像が見ごたえありました。どうも雰囲気や音楽のセンスが似ていると思ったら、この監督『ラン・ローラ・ラン』の人だったんですね。

9.29.2009

アメリカ人が驚愕した日本のラッピング技術

先日、アメリカ本社のコンサルタントが1日だけやってきて社内研修を行っていきました。最後にお礼ということでデパートで買ってきた焼き物をプレゼントしたのですが、彼女が一番驚いていたのが実は包装でした。

荷物の中で割れないようにと厳重かつ丁寧に包んでもらったのですが、そのホスピタリティとピシっと折り目のついた美しさは、(一般的には)ガサツなアメリカ人からすれば神業の領域だったのでしょう。今では過剰包装ということで忌み嫌われることが、異文化では大きな価値を生むのですね。

9.23.2009

『Man in the Dark』/Paul Auster

本国アメリカでは昨年出版されたポール・オースターの新作。『New York Trilogy』もそうですが、オースターの小説は英語も平易でとても読みやすい。

自動車事故にあった72歳の老人が、病床で自分の過去を振り返ったり空想の世界に入り込んだりするというもの。映画制作を学ぶ孫娘との映画に関する“論考”(小津の『東京物語』が大きくクローズアップされています)。9.11を経験せず、イラク戦争がない代わりにアメリカ国内に起こっていた東西内戦というパラレルワールドに放り込まれた若い男の“物語”(村上龍の『五分後の世界』を彷彿とさせます)。自身の結婚生活の喜びや悔恨を孫娘に聞かせる“自叙伝”。これら現実と空想世界が並行して進みながらもシンクロしていくあたりは、まさにオースターの面目躍如といったところ。老人の人生を通じて家族の大切さや反戦への祈りを込めた、とてもメッセージ性の強い小説だと感じました。

題名のMan in the Darkは、直接的には病床の老人のことでしょうが、国際舞台で暗中模索するブッシュや保護主義に傾斜するアメリカ国民のことも暗示しているのでしょう。

9.21.2009

『コズモポリス』/ドン・デリーロ

現代アメリカ最高の作家の一人と称されるドン・デリーロ。いつかは読まねばと思っていたので、この連休を機に手にとってみました。

2000年頃のニューヨークを舞台にした、金融マンの日常を追った物語。金融会社を経営する主人公は、ハイテクリムジンに乗って街中を疾走し、電話で部下に指示を出す。円相場の上げ下げに一喜一憂し、巨万の富を稼ぎながらも心の底からの満足を得られていない様子。そのうち何者かに命を狙われていく。

金融マンの虚無を描いた点はリーマンショックを予見していたかのよう。ただ、主人公の陥る精神世界や破滅へと向かう道程が難解で、とにかく分かりにくい。登山のような読書体験でした。そして、当のアメリカ人がこれを読んでどう思うのか聞いてみたいところです。

9.20.2009

白洲次郎はなぜプリンシプルを貫けたのか?

NHKハイビジョンでドラマ『白洲次郎』を再放送していたので、3話4時間半を一気に見ました。

う~む、白洲次郎という傑物の人生をなぞっただけで、正直ドラマとしては物足りない。戦中戦後の日本という背景で、あれだけ波乱万丈の人生を送った人だもの、それなりの見世物にはなるでしょ。どうせなら、本人がどのようにして自身のプリンシプルを築きあげ、なぜいかなるときもそれを貫くことができたのか、そこまで描いてほしかった。そうでないと、ただの恵まれた境遇に育った男の物語で終わってしまう。今ドラマ化するのなら、そこまで突っ込んでもらわないと、メッセージ性は乏しいです。

9.19.2009

念願のBOSE。

ちょっと前ですが、念願のBOSEのWave Music Systemを購入しました。

これにより、ついに我が家にもまともに音楽を聞ける設備がそろいました。なんせそれまでは、妻が10年ぐらい前に購入した安物のミニコンポを使用。カセットテープを装備していたことからも、どれくらい年季の入ったものだったかは想像がつくでしょう。でも、これが使えるうちは買い換えてはいけないというような暗黙の決めごとがあり、このたびCDが音飛びしたのをここぞとばかりにアピールしてリプレイスへとこぎつけたのでした。

Wave Music Systemは小さいのにほんと音がいい。また、とにかくシンプルで余計な機能がないのもいいですね。テレビにつないで映画やスポーツを見ると、非常に臨場感のある音が楽しめます。家にいながらにして映画館のような音質で、DVDをレンタルしてくる喜びが増えました!

9.18.2009

『日本の雇用--ほんとうは何が問題なのか』/大久保幸夫

非常に興味深く読ませていただきました。もっと評価され、話題になってしかるべき良書だと思います。

リクルートワークス研究所の所長だけあって、豊富なデータで裏づけを取りながら、現在の雇用問題について鋭く切り込んでいます。

特に印象に残ったのは以下の点:
・雇用ニーズは経済活動の必要性から生まれるのであり、経済の活性化を経ずに国が雇用を作り出そうとするのは愚行。
・短期時間労働のニーズがない日本にワークシェアリングは根付かない。
・失業者の7割は失業給付金をもらえていないという雇用保険の限界。
・非正規社員を「ある種の」正社員にすることで、正社員を多様化するという提案。

雇用されている人がそれぞれの立場から理論武装しておくのに最適な1冊だと思います。

ところで、この本は講談社現代新書から出ています。新書ブームの中ですっかり影が薄くなった気がしますが、僕が高校生の頃は新書と言えば岩波か中公かこの講談社現代新書しかありませんでした。最近はタイトルだけ刺激的で中身はスカスカという週刊誌みたいな新書が多い中で、本書のシンプルでストレートなタイトルと重厚で骨太な議論は好感が持てました。

9.17.2009

レタス1個110円、ルッコラ1パック68円。

この街に住んで約1年半。都心からも比較的近く、川など自然が近くにあり、パン工場のいい匂いが漂ってくる今の部屋が非常に気に入っているのですが、今日、その良さをもう一つ再認識しました。

それは物価が非常に安いこと。このところ隣町の大きなスーパーなどに買い物に行くことが多く、野菜の値段がやたらと高騰していて困っていたのですが、久々に地元のスーパーに行ってみたところその値段にビックリ。レタス1個110円、ルッコラ1パック68円などいまどきの相場では破格の値段に、思わず「○年前の価格です」というさおだけやの売り文句を思い浮かべてしまいました。これが川を渡った山の手の街だったらいくらになっていることやら。

なぜ安いのか? それは色々な仮説を立ててみているのですが、また後日。

9.15.2009

『こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる』/魚谷雅彦

コカ・コーラは嫌いですが、コカ・コーラのマーケティングやブランディングには興味があります。また、著者の魚谷雅彦さんにも、以前に何かの本で目にして以来興味がありました。そんなことで読んでみたのがこの本。

世界最高のブランドとして知られるコカ・コーラ。しかし、本書では本家コカ・コーラのブランディングよりも、日本コカ・コーラのローカルブランドであるジョージア、爽健美茶、QOOなどの事例がメインです(その意味で「120年変わらぬ商品が、今も売れ続ける理由」という帯のコピーは、やや偽りあり?)。YouTubeで当時のCMを見ながら読み進めていきました。

面白かったのは、著者がアンチ・マーケティングとも言えるような通常のセオリーを無視したマーケティング手法を実践してきたこと。市場調査など科学的根拠を頼りにするのではなく、“直感”を混ぜながら戦略を決めていき、周囲の反対を押し切っていく。このあたりの精神は、B to Bのマーケティング関係者にも役立つ情報だと思われます。著者のマーケティングにかける思いには感服します。

残念だったのは、マーケティング・コストやCM効果による売上・利益率の推移といった数字の話がほとんど出てこなかったこと。売上に結びつかないマーケティング活動は意味がありませんから。潤沢な費用を投下していたであろうことは容易に想像つきますが、一般企業のマーケターの感覚からは大きく離れるかもしれません。

グローバル・カンパニーで活躍する人物のキャリア・ストーリーとして読んでも興味深いです。

9.14.2009

面倒なときにはお手軽和風パスタ。

一人暮らしに戻ってから最初の平日。帰宅後ビール飲みながらシドニーの妻とskypeしてたら無性にお腹が空いたので、和風パスタを晩飯に作ることにしました。

しいたけ、えのき、しめじ、など家にあるキノコ類を適当な大きさに切り、ニンニクのみじん切り、鷹の爪、和風だし、醤油、酒をどんぶりに突っ込んでラップしてレンジで3分。すべて目分量。たまたま冷蔵庫にしそがあったので、これもまぜて。あとは茹でたパスタと和えるだけという、超お手軽なパスタです。パスタのゆで時間を除けば、調理時間は正味5分程度。

この先もパスタが増えそうな予感です。

9.13.2009

『ブロークン・イングリッシュ』

あのジョン・カサヴェテスとジーナ・ローランズの娘、ゾエ・カサヴェテスの監督デビュー作。どうせ親の七光りだろうし、タイトルとスチール写真からチープな恋愛ものだろうと推測し、あまり期待しないで見たら、意外と奥が深く印象的な映画でした。

平たく言えば、ニューヨークを舞台にした30代独身女性の婚活映画です。主人公ノラはきれいで性格もいいのに、いい出会いに恵まれず、自分が世界一男運の悪い女だと思っている。ところが、気乗りせずに行ったパーティーで帰り際にフランス人のジュリアンと出会う…。

これだけで展開は読めてくるものですが、実はジュリアンを追って行ったパリでの自分探しがメインテーマ。仮にこの映画を前半(ニューヨーク編)と後半(パリ編)に分けるとしたら、これほど雰囲気ががらりと変わってしまう映画も珍しい。前半は典型的なアメリカ映画っぽく、後半は観客に答えを委ねるような終わり方に象徴されるようにフランス映画っぽい。正直、男目線からすれば解せない場面も多々あるのですが、同じような境遇の女性は大いに共感するのではないでしょうか。僕の周りにもノラのような女性がいくらかいるので、オススメしよっと。

映像がとても瑞々しく印象的です。中でも驚いたのが、ニューヨークを撮るのがうまいこと。さすがカサヴェテス家の血筋を引いている?

『グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業』/夏野剛

10年ほど前にiモードを立ち上げ、携帯コンテンツビジネスの土台を築いた著者が、いまどきのウェブ/携帯ビジネスについて物申した本。

ウェブさえ立ち上げれば何か始まると勘違いし、ウェブビジネスの本質を理解しようとせずに、肝心のユーザーを軽視してしまっている旧体質の経営者を糾弾しています。会社で(一応)ウェブを担当している僕にも耳の痛い指摘でした。うちのボスにも読んでほしい(日本語読めないけど)。

それにしても、この人は何をこんなに怒っているんだろう? 自分が日本のウェブ/携帯ビジネスを立ち上げたグルである、という自負心が鼻につかなくもないです。言っていることは正論なのにもったいない。感情的にならない、冷静な議論が待たれるところです。

9.12.2009

『恋のゆくえ ~ファビュラス・ベイカー・ボーイズ~』

先日BSでやっていたので録画。20年近く前、高校生の頃に見て強烈に印象に残っている映画です。大人な映画だな~って、その世界観にたまらなく憧れたのを覚えています。

酒場をどさまわりしていたしがないピアノデュオ兄弟が、女性シンガーを入れたことから一気に売れるようになる。ところが、弟と女性シンガーが恋に落ちてしまったことから歯車が狂い始める…。という、ありがちなストーリーなんですが、脚本に無駄がなく、出演者たちの演技もいいので、お洒落で秀逸な作品に仕上がっています。マイ・ファニー・バレンタインをはじめとするジャズのスタンダードまで楽しめるというオマケつき。邦題はひどすぎですが。。。

恋に落ちてしまったものの、プライドが邪魔してしまったり、駆け引きを繰り広げる2人の心情が、今ならよく分かります。

9.11.2009

妻が留学に行きました。

本日、妻が1年間のオーストラリア留学に出発しました。

最初は抵抗したのですが(心情的にも、財政的にも)、どうしても今のうちに行っておきたいと言うものですから。長い目で見たら、1年くらいどうってことないと思うし。そこで中長期視点での投資というスタンスで送り出しました。しっかりものの彼女のことですから、年利20%くらいの利回りは達成してくれるでしょう(笑)。

ということで、9.11というタイミングで出発。会社休んで成田くんだりまで片道2時間強かけて見送りに行ってきました。

こちらも久々の一人暮らし、存分に楽しませていただきます。時間もできたし、そろそろブログを再開しようかと。

7.28.2009

カラダの変調?

最近仕事が忙しく、ブログの更新がだいぶ止まっていました。それに加え、やや夏バテも? 暑さに強いというのがウリだったのですが、さすがに30代も後半に突入するとカラダも思い通りには動かなくなるようです。。。

6.29.2009

亡くなって再認識したマイケル・ジャクソンのすごさ。

マイケルが死亡か?というニュースを最初目にしたときは、不謹慎にも「また話題づくりかな?」なんて思ってしまいまいした。

いざ本当に亡くなると、じわじわと事の重みが伝わってきました。Youtubeで「スリラー」「ビリー・ジーン」など彼の代表作を見返すと、歌はうまいしダンスも抜群にかっこいい! 改めて彼のすごさを再認識したのでした。

僕が初めて行った音楽コンサートというのが、1987年のマイケル初来日公演のものでした。マイケルの熱狂的ファンだったComposer氏と興奮のるつぼに飲まれたのを、昨日のことのように思い出します。当時、中学2年生。最近の追悼番組を見て、あれがいかに歴史的なコンサートだったかを知りました。

6.19.2009

小説ハゲタカ。

我が家のハゲタカブームは続き、ヨメは映画の原作『レッドゾーン』を、僕はドラマ原作の『ハゲタカ』を熟読中。

噂には聞いていましたが、ドラマ・映画とはだいぶ違いますね。ドラマのクールなイメージと違い、鷲津が非常に人間的なことには驚きました。大阪出身で関西弁を話すことにも!

当然、小説の方が物語の奥行きも深いです。

6.13.2009

鎌倉でイタリアンと言えばロンディーノ。

毎年アジサイの季節になると鎌倉に行きたくなります。そして鎌倉に行ったら必ずと言っていいほど訪れるのが、稲村ケ崎にあるイタリアンレストラン『ロンディーノ』。海沿いにあるこじんまりとした店で、1階はアラカルト、2階はコースと分かれています。今日は初めて予約して2階に行ってみました。





ここの店は魚介類がとにかくウマイ! 特に絶品だったのがシラスのパスタ。ニンニク、赤唐辛子、シラスだけの本当にシンプルな料理なのに、豊潤な香りが口中に広がってきました。



メインの豚肉とアーティチョークの料理も、今までに食べたことのないような食感と味付け。今なら昇天してもいい、そう思えるほどでした。

ウエイターも熟練の方ばかりで、サービスのクオリティも非常に高いです。若いバイトを雇って人件費を削ろうなどという気はないのでしょう。値段は納得の満足度です。

http://www.rondino.co.jp/

6.07.2009

『ハゲタカ』

楽しみにしていた映画版『ハゲタカ』を見てきました。息つく間もないくらいスリリングな映画でした!

日本を象徴するような巨大企業アカマ自動車に中国系ファンドが敵対的買収を仕掛けてきた状況に、アカマの経営陣やメーンバンクはどのように対抗するのか。日本の基幹産業である自動車業界のノウハウを外に流出させていいものかという議論。それに加え、新旧ハゲタカが以前に同じ会社に勤めていたといった因縁などが絡み、登場人物がそれぞれの正義を貫こうとする様子が実にスリリング。

アカマ自動車は、個人的にはトヨタと日立を足して二で割ったイメージを勝手に抱いていたのですが、十分、現実に起こりうる話だと思いました。最後はウルトラCの秘策が飛び出るのですが、これもリーマンショックをモチーフにしています。上映中、自分だったらどのような解決策を提示するか考えながら見ていましたが、とても及びませんでした(苦笑)。

http://www.hagetaka-movie.jp/

6.06.2009

これぞ和風ベーグル。

大学時代の友人Sがベーグルを送ってくれました。Sの高校時代の友人がやっているベーグルのネットショップのもので、楽天でもなかなかの人気サイトだとのこと。確かにうまかったです。

ベーグルと言えば13年も前になりますが、本場ニューヨークで初めて食べたとき、全然おいしいとは思いませんでした。その後ほどなくして日本でもちょっとしたブームになり、食べてみたら全くの別モノ。日本独自の発展の仕方をしたのですね。

この店も、キャラメルマキアート味、レモンティー味、抹茶味など、本場アメリカ人が見たら仰天するような工夫が施してあります。包装や送られてきた段ボールなど、パッケージもトータルにプロデュースされており、とてもかわいらしい。アメリカに逆輸入したらいいのに。

http://www.rakuten.ne.jp/gold/els4gats/

6.04.2009

『新入社員はなぜ「期待はずれ」なのか』/樋口弘和

著者の樋口さんの講演を以前聞いたことがありますが、その時は、あまり根拠も示さずに思い切ったことを言う人だ、という印象を持ちました。

本書も同様です。自分の思い込みや意見をあたかも一般論であるかのように述べています。

タイトルからは今どきの若者を糾弾するような内容を想像しますが、企業側の採用・育成の仕方が悪いと訴えています。第5章の「優秀な人材を見抜く“雑談面接”」は、その状況を打開するための手法としてコンピテンシー面接を紹介しているのですが、実例が載っており非常に有益です。

ただ、現状の日本企業の採用や若手社員の育成方法を一刀両断しているのは気持ちいいのですが、あまりに根拠もなく断定的な物言いをしているので、人によっては反感を抱くかもしれません。また随所に自社の宣伝を挟みこんでいるのですが(他社はできていないけど、うちはできている的な)、それもややしつこいと思いました。

光文社新書は確かに面白い本もたくさんありますが、きちんとした裏付けのないままに出版しているという印象をどうしても持ってしまいます。

5.30.2009

『グローバルリーダーの条件』/大前研一、船川淳志

グローバル人材の育成に関して名高いお二人の対談だけに、内容はそれなりに面白いですし、役立つところも多々ありました。それでも、読後の満足度は決して高くはありませんでした。その理由は主に以下の2点です。

・船川さんが憧れの大前さんと対談したことで舞い上がっている感があり、いつもの船川節が少ない。

・両者とも言っていることはもっともなのだが、過去の著作やどこかで語られていることばかり。

ついでながら、英語はニュアンスを使い分けなければならない、と言っているにも関わらず例文の英語が間違っています(p125)。序章で、アメリカではしかるべき出版社なら1、2年もかけて厳しくチェックした上で出版すると述べており、あまりにも安易に売れそうな本を出す、と日本の出版界を批判しているのに、本書もその類になっているわけです。

5.28.2009

利他のバルサと利己のマンU。

チャンピオンズリーグ決勝のバルセロナ対マンチェスター・ユナイテッドは、予想外の一方的な内容でバルセロナが勝利。結果は2-0ですが、4-0とか5-0とかの大差になってもおかしくありませんでした。

バルサのプレーを見ていると、選手一人ひとりの間に「美しく勝て」というクラブのDNAが浸透していることがうかがえます。メッシとクリスチャーノ・ロナウドの“世界No.1”対決も、メッシの圧勝でした。ロナウドが個人プレーに走り、うまくいかずイライラがつのるばかり。メッシはチームプレーの一環として時に個人技での打開を図るので、はるかに効果的。

ロナウドは試合後「戦術が悪い」と不平たらたらだったそうな。ガチンコ勝負を挑んだマンUファーガソン監督の勇気は称えたいところですが。

5.26.2009

草木の育たない部屋。

部屋で草木を育てようとしても、なぜかすぐに枯れてしまいます。

最近ではバジルを植えたところ、あっという間に萎えてしまいました。その前には、驚くべきほど簡単だと言われるパキラでさえ、わずか数カ月の短命で終えてしまいました。今よりよほどズボラだった一人暮らしのときでさえ、1年以上は持ったのに。。。

草木が育たない部屋にはマイナスオーラがあると言いますが、果たして?

5.09.2009

『ロジカルリスニング』/船川淳志

「聞く・話す・読む・書く」というコミュニケーションの4大要素のうち、実は使用頻度が最も多いのは「聞く」である。なのに教育での優先順位は一番低い。コミュニケーションの質を高めるためには、頭を使って意識的に聞くことが必要である。

著者は“ロジカルリスニング”という造語を提示して、積極的傾聴スキルの重要性を世に問いました。確かに「聞く」ための授業というのは受けたことがありません。

具体的には、Description(事実、自分が取り入れた情報を描写する段階)、Interpretation(解釈の段階)、Evaluation(評価の段階)というステップに分ける「D.I.E.モデル」、思考の放棄症・思考の依存症・思考の歪み・思考の偏りからなる「思考の四大生活習慣病」などのフレームワークを紹介しています。

解説も全般的に理解しやすいため、トータルで見れば良書だと思います。ただ残念なのは、全8章のうち半分は背景説明で、肝心の実践部分はやや少ないこと。入門書としてはいいと思いますが、これを読んだだけで飛躍的にリスニング力が増すまでには至りません。

5.08.2009

『人を喜ばせるということ―だからサプライズがやめられない』/小山薫堂

『おくりびと』の脚本も書いた、放送作家・小山薫堂さんの新刊。

タイトルと「はじめに」だけパラパラっと読んで、何となく良さそうだと思って購入してしまいました。が、結論から言えば期待外れでした。

いつも人を喜ばせることを考えていれば、結果として仕事につながることもあるし、そうでなくても毎日が味わい深くなる。この考え方には非常に共感します。

しかし、具体例としてのサプライズ集があまりにひどい。サプライズばかり考えているためエスカレートしてしまったのか、一部を除いては、もはや“ドッキリ”や“ウソ”の領域なのです。これでサプライズされた相手は本当に喜ぶのか疑問…。

人によっては、さすが小山薫堂!と思う内容かもしれませんが、僕のテイストには合わなかったということでしょう。

5.07.2009

『おくりびと』

アカデミー賞外国語映画賞を受賞した作品。巷では生と死や家族愛をテーマに語られていますが、僕は偏見と戦う人の物語だと感じました。

納棺師という“人に言えない仕事”をすることになった主人公。妻には出ていかれ、幼馴染からは後ろ指を指される。でも一般論として、人が偏見を持つのは対象のことを知らないからです(世の戦争や人間関係におけるいざこざも大抵そうでしょう。相手のことを知れば知るほど、攻撃しようという気はなくなるはずです)。

この映画では、偏見を持った人たちが、身近な人物の死を通じて納棺師の仕事と存在意義を目の当たりにしたとき、理解や共感が生まれます。そういう意味で、これはコミュニケーションをテーマにした映画だとも言えるのではないでしょうか。ピンク映画という“人に言えない仕事”をしてきた滝田監督も、評価されたことで溜飲が下がったことでしょう。

“人に言えない仕事”ではないですが、“人に言ってもなかなか分かってもらえない仕事”をしている僕にとっても、大いに共感できる部分がありました。

5.06.2009

35歳の苦悩。

NHKスペシャル『“35歳”を救え あすの日本 未来からの提言』という番組を見ました。

団塊ジュニア世代の最後に位置する僕らは、精神科医の香山リカ氏に“貧乏くじ世代”と名付けられるなど、受験、就職とすべてにおいて激しい競争を強いられた世代。そんな今の35歳が希望を持てずにいるのは、将来の日本にとってよくない、というのが番組の主旨。

僕自身35歳として、共感できることが多かったです。と同時に、個人の努力ではどうにもならない状況にすでになっている、という考察には正直疑問を抱きました。個人的には、確かに大変な思いもしたけど、時代や社会のせいにはしたくないという意地が強くあります。

この番組を通じて、他の世代の人たちに団塊ジュニアの実態を知ってもらう契機になればよいとは思います。上の世代からも下の世代からも「甘えている」と見られることが少なくないので。

http://www.nhk.or.jp/asupro/index.html

5.05.2009

『新・都市論TOKYO』/隈研吾・清野由美

建築家の隈研吾さんとジャーナリストの清野由美さんが、東京の都市開発について対談した本です。俎上に上っているのは、汐留、丸の内、六本木ヒルズ、代官山、そして町田。それぞれの街の特徴と、日本の都市計画の問題点が非常に分かりやすく述べられています。

象徴的なのが汐留。旧国鉄の貨物駅跡地という広大なスペースだったのが悲劇でした。資金的に誰もリスクを負えなくなったことから複数のディベロッパーに分割した結果、建物の向きも外観もまるで統一感のない高層ビルが乱立することとなったのです。汐留を歩くときの分かりにくさや無機質な感じは、ここに起因していたのですね。

それと対照的なのが、森ビルが1社で開発した六本木ヒルズ。貸しビル業の限界を嫌というほど感じていた森ビルが17年もかけて500人もの地権者と地道な交渉を続け、執念の果てに完成させた現代東京の象徴です。ただ、ここでは逆に森稔社長のワンマン体制ゆえに、円環構造という新たな分かりにくさが生じてしまいました。六本木ヒルズも、行くたびに必ずといっていいほど道に迷ってしまいます。

本書を通じて感じたのは、スクラップ&ビルドを繰り返すことでしか土地の価値を上げられず、自転車操業的に再開発を繰り返す東京という都市の節操のなさでした。

書籍として見れば、内容は抜群に面白いのですが、図版がやや少なめ(しかも白黒)なのと地図がないのが難点です。…と思ったら、集英社のウェブにカラー図版が載っていました。しかも驚くべきことに本文(恐らく全文)が読めます! というか、このウェブの連載をまとめのが本書のようです。
http://shinsho.shueisha.co.jp/column/toshi/index.html

5.04.2009

『グラン・トリノ』

クリント・イーストウッド製作・監督・主演の映画。本人はこれが最後の出演作だと公言しているそうです。

朝鮮戦争に従軍した際の栄光を胸に古い価値観を保ち続ける頑固老人と、その隣に引っ越してきたモン族の一家。モン族の少年が不良たちにけしかけられ老人の愛車グラン・トリノを盗もうとしたことから、老人との交流が始まります。老人がうだつの上がらない少年に「男とは」「生きるとは」を身をもって示していくというストーリー。

途中までは老人のあまりの偏屈ぶりが笑えるなどコメディっぽい要素があるのですが、途中から人種や暴力といった重いテーマへと徐々に移行していきます。最後はある意味ハッピーエンディングであるものの、映画館のあちらこちらからすすり泣きの音が。心に沁み入るような珠玉の作品です。

http://wwws.warnerbros.co.jp/grantorino/

4.30.2009

『建築家 安藤忠雄』/安藤忠雄

坂本龍一に引き続き、安藤忠雄の自伝も読みました。

自伝と言うと生い立ちから順を追って語っていくというイメージがありましたが、本書は建築家になる前のことは全12章のうちの1章を割いたのみで、実質的には安藤氏が自身の手掛けた作品について語った建築論といった趣です。

ただ、その建築論が半端じゃありません。ゲリラという姿勢を貫き、行政やクライアントを含む“社会”と闘い続ける姿には感動を覚えます。むしろ“闘争記”と言った方が適切かもしれません。

「現実の社会で、本気で理想を追い求めようとすれば、必ず社会と衝突する。大抵、自分の思うようにはいかず、連戦連敗の日々を送ることになるだろう。それでも挑戦し続けるのが、建築家という生き方だ」。学生たちに語りかけたこの言葉が、安藤氏のすべてだと言っても過言ではありません。

ブックデザインも素晴らしいです。何と言ってもアラーキーの撮った表紙の写真が強烈なインパクトを放っています。書店で見かけたとき、安藤氏の眼差しから目が離せず、思わず手に取ってしまいました。中には多数の図版が挿入されておりイメージを含ませながら読み進むことができます。版型も一般の規格と少し変わっており、安藤氏の姿勢を象徴しているかのよう。

4.29.2009

ゴールデン読書ウィーク、スタート。

訳あって今日から12連休です。

会社が経済危機の影響で業績不振で、給与カットの見返りとして休みを多くくれたというだけなのですが。

ただ降って湧いた貴重な休みだけに、無為に過ごすのではなく、今まで読みたいと思っていながら読めていなかった本を軒並み読破しようと考えています。

忙しさにかまけて更新を怠っていたブログも、もっと更新できればいいな、と。。。

4.27.2009

『レッドクリフⅡ』

面白かった『Ⅰ』の続編なので必然的に『Ⅱ』も見に行ったわけですが、、、戦闘シーンばかりのただのアクション映画で残念でした。

三国志に興味を持つきっかけになったのは、良かったかな?

4.26.2009

『音楽は自由にする』/坂本龍一

坂本龍一の自伝です。

坂本龍一の音楽は中学生の頃からずっと好きだったというのもあり、一気に読み終えてしまいました。ピアノとの出会い、名編集者だった父(三島由紀夫の『仮面の告白』などを担当)との関係、学生運動への傾倒、ミュージシャンや文化人との幅広い交友関係、YMO、俳優としての活動、映画音楽など、本人の口から語られる言葉は現在の日本の音楽史の貴重な記録です。個人的には、戦後の日本を引っ張ってきた全共闘世代の回顧録としても面白かったです。

ただ、それは坂本龍一という人間が面白いのであって、本の作りには疑問を呈してしまいます。一番は『エンジン』という車雑誌に掲載された連載をまとめたものであるため、深堀りが少ないこと。もっと知りたい、と思うところで次の話題に移ってしまうのがやや残念でした。

4.25.2009

『決壊』/平野啓一郎

読み終わってしばらく放心してしまいました。著者がタイトルに込めた意味に、じっくりと向き合うことを強要されるように。

“決壊”という言葉からは、ただキレるとか壊れるというのではなく、堤防で抑えていたものが抑えきれなくなるというニュアンスを感じます。日本という社会の至るところで決壊が生じているということを、著者はこの上下二巻にわたる重苦しい長編を通して訴えたかったのでしょう。

平凡な一家を襲った連続バラバラ殺人事件を軸に物語は進みます。が、最初の殺人が起こるのは上巻の最後の方。それまでの登場人物たちの日常の中にこそ決壊する要素が見え隠れしていることを丹念に描いていきます。教育の問題点、ネット社会の恐ろしさ、警察の抱える矛盾など、様々なテーマを著者なりの視点でえぐっていきます。著者の平野氏は僕の2歳下ですので、感覚が近しいことを感じました。特に酒鬼薔薇事件に関しては、著者なりの解釈を展開したかったことがうかがえます。

決して読んでいて気持ちのいい小説ではありません。ただ、一度読み出したら、途中で本を置くことを否応なく拒否するような磁力があります。読者が試されているような気にさせられる、現代日本を生きる上での踏み絵のような小説です。

4.18.2009

『スラムドッグ$ミリオネア』

ようやく日本でも公開になり、待ってましたとばかりに初日に見に行ってきました。アカデミー賞で散々話題になったし、イギリスに住んでいる友人とか何カ月も前からいい作品だと言っていただけに、どれだけ歯がゆい思いをしたことか!

そして、やはり見て良かった! クイズの問題がすべて主人公に関連があるなどストーリーができすぎの感もありますが、それは映画だから良しとしましょう。

この映画の魅力は、臨場感。ムンバイのスラム街は疾走感たっぷりに、タージマハルは荘厳かつ美しく描き、行ったことがなくても行った気にさせられるなど観光映画としての側面もあると思います。振り返れば、ダニー・ボイル監督は代表作『トレインスポッティング』でも、エジンバラという街の魅力をうまく引き出しながら、そこで麻薬漬けになって暮らす底辺の若者たちを描いていました。街と市井の人を描くのがうまいですね。

その上で訴えたかった大切なメッセージは「お金がすべてじゃない、お金より大切なものがある」。同じ境遇ながら、金と権力の虜になっていく兄との対比や、彼がクイズ・ミリオネアに出場した真の理由が明らかになった終盤、最後の質問に本当のヤマ勘で答えるところに象徴的に表れています。金融資本主義への反省かまびすしい今年3月のアメリカでアカデミー賞を8部門も受賞したのも、よく分かる気がします。

そして最後は、歌って踊ってのマサラムービー。ハッピーで清々しい気分で締めくくられる、まさに時代が求めていた映画だと言えます。


http://slumdog.gyao.jp/

4.14.2009

残念なお店。

得意先を接待するために、ランチに行ってきました。某タワー40階にある、決して安くはなかろう中華料理店。ところが、入店して席についてすぐに聞かれたことに驚きました。「食後のお飲みものはいかがなさいます?」。

何だってこれから食事を楽しもうというときに、食後のことを考えなければならないのでしょう? あくまで店側の準備の都合で、全然お客さんの立場に立っていない態度に興ざめしました。おまけに出てきた料理は味は悪くはないものの、とにかく量が少ない。中華の高級店って、なんでこうなんでしょう? もうあの店に行くことはないでしょう。

4.03.2009

春の珍事。

今日は駅にまつわる春の珍事に2つ遭遇。

まずは朝のラッシュ時の渋谷駅。山手線が人身事故により運転見合わせとなり騒然とする中、ホームの片端で倒れている男性とそれを救護する駅員が。そんな駅員に向かって「池袋には行くにはどうすればいいですか?」と何のてらいもなく尋ねるおばちゃん。ところが駅員も駅員で、普通に答えてしまっていたり。救護されていた男性の「え、俺のことは?」と言いたげな不安そうな顔が忘れられません。

続いて昼過ぎに客先を訪問するために向かった九段下駅。電車を降りると、「2番出口を封鎖します! 地上に出られる方は1番と3番出口をご利用ください!」というアナウンスが。テロでもあったのかと思いきや、実態は靖国神社と千鳥が淵という桜の名所に向かうおばちゃん連中と法政大学の入学式が重なり、ものすごい混雑になっていたのでした。おばちゃんパワーと若者パワーがもろにぶつかる熱気を想像してみてください。さしずめ絨毯爆撃をかいくぐる兵士のような気分で外に逃れたのでした。

4.02.2009

リバプールがチャンピオンズリーグで強い理由?

今日の日経夕刊にリバプールのベニテス監督がチェス好きだという記事が載っていました。

なるほど、システムありきのターンオーバー制を敷き、グランドを広く使うあのサッカーは、まさにチェスそのもの。監督にとって選手一人ひとりは、チェスの駒のようなものなのでしょう。やたらと勝負強いところも、チェスで鍛えた勝負思考の産物か?

3.31.2009

春の訪れ。

2007年からずっとペンディングになっていたプロジェクトが1年半の眠りからようやく覚め、ついに動き出しました(何度目?)。途中何度もローンチの話があがり、その度に打ち合わせやスケジュール作成を重ねてきたものの、延期を繰り返し、狼少年と化していたプロジェクト。感激です。

3.29.2009

『告発のとき』

「イタリア300年の政争はルネッサンスを生んだ。スイス500年の平和は鳩時計を生んだだけだ」とは映画『第三の男』の悪役ハリー・ライムの名台詞。戦争を題材にした優れた作品を目にするたびに、この名言を思い起こします。

この映画を見たときもそう。イラク帰還兵の失踪事件の真相を父親が追い、次第に息子がイラクで体験した壮絶な事態に行きつくという映画。父自身、元憲兵で熱烈な愛国主義者。ところが事件を調べるうちに、今の米国がどうしようもなく病んでいることを痛感するようになります。それを象徴するのが逆さに掲げられた星条旗。これは「どうにもならない、助けてくれ」という救難信号を示します。

イラク帰還兵の間にPTSD(心的外傷ストレス障害)が急増しているという事実を知った映画監督兼脚本家のポール・ハギスは、この話を映画にしなければいけないと痛切したそうです。周囲の反対を押し切ってアメリカを告発するような作品を撮り上げた彼の勇気に拍手です。

ただ、せっかくのいい映画なのに邦題が意味不明。原題はIn the Valley of Elahで、聖書に出てくるダビデとゴリアテの戦いの場所、今のイラクを指します。これはアメリカという巨大権力に映像作品という飛び道具で立ち向かう、ポール・ハギス自身のメタファーでもあります。

3.20.2009

『ディパーテッド』

『インファナル・アフェア』のハリウッド版リメイク。アメリカ人ってほんと分かりやすいストーリーが好きなんだと思うようなエンディングで、駄作でした。

レオナルド・ディカプリオとマット・デイモンが似ていて、どっちがどっちだか分からなくなることがあったのは、僕だけでしょうか?

3.12.2009

花粉症シーズン真っ盛り。

花粉症シーズン真っ盛り。今年は昨年に比べ花粉量が10分の1程度と少なめのようで、僕に限って言えば、くしゃみ・鼻水は大したことありません。その代わり、別の困った症状が。やたらと頭がぼーっとするのです。電車に乗っていても、歩いていても、デスクに座って仕事していても。突然くらっときてバランスを失いそうになったり、仕事にもいまひとつ集中しきれなかったり。何かいい薬ないかしら。

3.08.2009

『クレイマー、クレイマー』

仕事一筋で家庭を顧みない夫、専業主婦でい続ける自分に疑問を抱く妻。

夫婦間の永遠のテーマとも言える題材を無駄なく練り上げた脚本。ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープという言わずと知れた演技派たちに加え、8歳にしてアカデミー賞助演男優賞にノミネートされた子役も含めた名演(迫真に迫った演技を生み出すため、ダスティン・ホフマンはメリル・ストリープのほっぺを叩いたりしたそうです)。冬のニューヨークの街並みに、どこかノスタルジックな音楽。良い映画を構成する要素がこれだけ揃えば、とびきり素晴らしい映画ができることは間違いありません。

余談ですが、夫婦(カップル)で見ると、男性視点、女性視点と面白いように評価が分かれます。

3.01.2009

『一流の人は空気を読まない』/堀紘一

「空気を読まないことの重要性」という切り口で書かれた、実質的な堀さんの自伝です。テレビで見る堀さんは、歯に衣着せぬ物言いでインパクト大ですが、この本もそんな雰囲気に包まれています。

第1章と第2章は、よく見聞きする現状の日本批判。取り立てて新しい内容はないように思いました。ところが第3章以降、堀さん自身の経験談を交え出してから、一気に話が具体性と説得力を増し、面白くなりました。

勇気が湧いてくる本だと思います。

2.28.2009

Esquireも休刊。

ある意味、『広告批評』の休刊以上にショッキングなニュースでした。

日本版Esquireは、日本の男性誌で唯一“まとも”と言ってもよかった雑誌です。いつも独自の切り口で特集を組み、デザインやグラフィックのクオリティも相当高かったですから。事実、今月号の「学び」の特集も読み応え十分。

こんなハイセンスで価値ある雑誌が生き残れないなんて、日本の出版業界はほんと終わってますね。。。

2.21.2009

『スカーフェイス』

アル・パチーノが『ゴッドファーザー』以上の名演技を見せ、名作との誉れが高かったので見てみましたが…、残念ながら僕にとっては駄作でした。

キューバからアメリカに亡命し、麻薬取引で名をあげたトニー。野心に満ちあふれ、裏社会でのアメリカン・ドリームを実現したものの、次第に誰も信用できなくなり、最後は最も身近な人に銃口を向けられるという物語。

『ゴッドファーザー』のような文学性がなく、ただの抗争ものに終わってしまっている点が残念。アル・パチーノの演技も過剰な印象で、『ゴッドファーザー』での静かな中に闘志を秘めた演技の方に僕は軍配を上げます。アル・パチーノはこの後しばらく俳優としての低迷期を迎えますが、それを象徴するようなエンディングです。

2.20.2009

中川 酒

中川元財務大臣のおかげで、少し円安ドル高になったそうです。財務大臣があんな答弁をしたのだから、日本経済はダメだと思われてもしょうがいないか。今やあの醜態がYouTubeで世界に配信され、「中川 酒」の検索でもすっかりおなじみになっちゃいましたからね。

中川さんって日本の政治家には珍しく、外見的に世界に出して恥ずかしくない人だと思っていましたが…。残念。

2.18.2009

『ゴッドファーザー』に男の生き方を学ぶ。

ここ数日、僕の頭の中ではあのゴッドファーザーのテーマ曲がひっきりなしに流れています。BSで『ゴッドファーザー』三部作を連続で見て以来、あの世界観の虜になってしまったようです。

実は高校生の時にも一通り見たのですが、当時は複雑な人物関係が把握できなかったり、あまりに長すぎて途中寝てしまったりと、きちんと見たとは言えませんでした。

それが今見ると、あまりの奥深さに脱帽。映画史に残る名作と言われる理由がよく分かります。三代にわたるコルレオーネ一族の壮大な物語。マフィアなので暴力・殺人もいといませんが、義理人情に篤く、何より「家族を大切にしないものは男じゃない」というドンの言葉からは、男の生き方を学べます。

『ゴッドファーザー』の魅力は、この原作および脚本の秀逸さ、黒の中の黒を表現した映像美、ニーノ・ロータの哀愁漂う音楽、コッポラ監督による演出など色々あると思いますが、やはり何と言っても名優たちによる名演技の対抗戦でしょう。マーロン・ブランドの落ち着き払った風格に、アル・パチーノの冷酷な眼差し、そして若き人格者を完璧に演じきったロバート・デニーロ。この三人を中心にジェームズ・カーンやロバート・デュバルが脇を固めているのですから。

それだけに、PartⅢのソフィア・コッポラはやはりいただけません。愛娘を女優に育てたいというコッポラの親心でしょうが、名優たちの中に素人が一人混じっただけで、画面から緊張感が失われてしまいました。コッポラ監督も言うように、PartⅢは別モノとして捉えた方が良さそうです。

2.15.2009

人材立国シンガポールの衝撃。

いつも秀逸な、NHKスペシャルの「沸騰都市」シリーズ。今夜はシンガポール。東京23区とほぼ同じ大きさ、資源がなく、人口もわずか480万人というこの国が、人材立国という政策を徹底し、世界中から優秀な人材をかき集めている様が描かれてました。

2年前に一人当たりGDPで日本を抜き、アジアNo.1国家となったシンガポール。優れた研究者を驚くほどの厚遇で迎えると同時に、建設作業の労働者などは南アジアの貧しい国から低賃金で集めてくる。非常に“資本主義的”な政策は日本的な価値観とは相いれないものだと思いますが、それしか生き残る道がないだけに、リー・シェンロン首相(リー・クワンユーの息子)は迷いがありません。漢字もまともに読めない日本の総理とは大違いです。

そう言えば、留学中に友達になったシンガポール人は一人の例外もなく優秀でした。僕の会社のAPの本部もシンガポール。残念ながら、今の日本ではとてもシンガポールには太刀打ちできないというのが、僕の実感値です。

2.11.2009

ボールの弾道だけで人を感動させる男ベッカム。

民放でACミランの試合をやっていたので見てみました。

ベッカムがキレキレなのに驚きました。全盛期のマンU時代を彷彿とさせるような鋭く曲がる美しい弾道のクロスが、33歳にもなって、しかもイタリアで見られるとは。

ベッカムに関しては、ルックスをはじめスター性ばかりもてはやされ、それをやっかむ向きもありますが、サッカーが興行物だということを誰よりも理解し、率先して実行しているのは立派だと思います。なんせ、ボールの弾道だけで人を感動させられる男ですから。

2.08.2009

『91%の社員は「ムダ!」である』/梅森浩一

日本企業はプロセス重視で、米企業は結果オーライと書いたところで、ちょうどタイムリーにそのことを裏付けるような本を読みました。『「クビ!」論。』という刺激的な著書がある梅森さんの近作です。

ビジネスにおける評価は他人目線。梅森さんが最終的に言いたかったのは、このことではないでしょうか? いかに自分が努力したつもりでも、結果が伴わなければ自己満足に過ぎない。その結果も、他人から見て成果と呼べるものである必要がある。この当たり前のことが分かっていない人が、ビジネスでもスポーツの世界でも日本にはあまりに多いような気がします。

「91%の社員はムダ」と断言する根拠は、日本企業の社員の91%がエンゲージメントではないという調査結果に基づいたもの。根拠としてはやや薄弱ですが、エンゲージメントの重要性を喚起しようという意図が込められているのでしょう。

2.07.2009

プロセス重視の日本企業と、結果オーライのアメリカ企業。

先週は、毎年恒例、人事のための年に一度の大会HRDに行ってきました。そこで、日米それぞれの企業が事例を発表するセッションを2つ聴講したのですが、どちらも日本企業と米企業という対比が鮮明に表れるものでした。

【日本企業】=プロセス重視。結果が出なくても、今回は運が悪かったためで、過程を大切にしていればそのうち結果は伴うはず、と考えるなどプロセスが目的化してしまうことも。

【米企業】=結果重視。プロセスも重視するものの、結果が伴わないプロセスは全く意味がないと考える。結果オーライ的なところも。

一般化できないことを承知の上で、すごく大雑把に言えばこうなるのではないでしょうか?

発表の中で、日本企業は取り組みばかりにフォーカスし、結果に対する考察はほとんどなし。プレゼンの仕方も、日本企業が文字だらけのスライドをほぼ読み上げるだけだったのに対し、米企業のスライドは図表が中心で、映像を交えたりユーモアも交えたりとインタラクティブ感たっぷり。

でも、最後の質疑応答では、日本企業の方に多くの質問が集中するのです。つまり、まだまだ日本的な企業が多いというのが実態なのでしょう。勉強になりました。

2.03.2009

『マネー力』/大前研一

話題になっていたので読んでみましたが、たまげました。

前半は日本人に、お金に関する意識改革を迫るような内容。明確な根拠が示されないながらも、鋭い舌鋒は大前節炸裂といった趣でなかなか読み応えがありました。

ところが、5章から先はビジネス・ブレークスルー大学院大学の完全な宣伝。卒業生の声で紙幅を稼いで、スクールへの勧誘を促す。結局、この本の中では実践的な資産運用スキルは述べられていません(スクールで教える、というスタンスですから)。勝間和代さんや中原圭介さんの本のようなイメージで手に取った僕は、腰を抜かしそうになりました。

それでも刺激を受けたことは受けましたがね。それにしても大前さんは商売上手だこと。

1.28.2009

田園都市線ショック。

田園都市線のあまりの混雑に嫌気がさした僕は、普段より1時間半ほど早い6時50分台の電車に乗ることに。この時間ならガラガラで、落ち着いて新聞も読め、あわよくば座れるかも? そんな淡い期待を抱きつつ駅へ向かった僕を待っていたのは、この時間帯にして田園都市線はすでにすし詰め状態にまで混雑しまくっているという、驚愕の事実でした。

1.23.2009

『クローバーフィールド/HAKAISHA』

少し前に話題になっていたのでDVDをレンタルしてみたけど、これはヒドイです。『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と同レベルかも。

ニューヨークのマンハッタン。日本に転勤することになった男性の壮行会の最中に、突然衝撃音が。表に出たら、自由の女神の顔が街中に降ってくる。逃げ惑う人々。パーティーの様子を手持ちカメラで撮影していた人物がそのまま撮影を続け、次第に“破壊者”の正体が明らかになっていくというもの。

ツッコミどころ満載なのですが、一番は手持ちカメラでの映像でしょう。今どき、手ぶれ補正がついてるんだから、ここまでぶれないのでは? また、生死の境にいるというのに、落としたカメラを取りに戻ったりするでしょうか? 臨場感がすばらしい、と評価する向きもあるようですが、終始手持ちカメラでの映像を見せられてるんだからそりゃそうだ。

映像的に気持ち悪いシーンも多数あり、観終わった後、本当に嘔吐してしまいました。ご注意を。

1.18.2009

社会人にも有益、センター試験。

新聞にセンター試験の問題が載っていたので、現代社会をやってみました。

結果は74点。これって、社会人としてはどうなんでしょう…? 完璧に解けた問題もあれば、まったく歯が立たなかった問題もあったり。基本的な問題が多いので、非常に勉強にはなったのですが。

それにしても試験は疲れます。。。

1.12.2009

シンメトリー。

こいつら、実に仲良さげに日向ぼっこしていました。

1.09.2009

『シンクロニシティ』

会社の人に薦められて読んでみましたが、不思議な本です。ビジネス書、小説、自伝、フィクションと様々な要素が組み込まれています。

シンクロニシティとは、2つ以上の出来事が重要な意味を持って同時に起こること。日本語では「共時性」と訳されます。ただ、それらはただの偶然ではなく、本人が強い意志を持ったときに生じるめぐり合わせ。それは「行動」ではなく「あり方」によって、生み出されるパワーだということを、著者自身の物語を通じて伝えているのです。

著者は絵に描いたようなエリートコースを歩み、弁護士として輝かしい成功を収めます。しかし、あるときすべてを投げ打って、リーダーシップ開発の旅に出る。すると、協力者や助言を与えてくれる者など、必要な出来事が必要なタイミングで起きるようになった。そして、アメリカでも有数の団体へと育てあげるのです。こういった成功譚をただ書き連ねてもなかなか信憑性が薄いので、物語という体裁をとっているのでしょう。

個人的にこの本の中での一番の学びは、サーバント・リーダーシップという概念でした。リーダーシップと言えば、皆の先頭に立って道を切り拓いていくというイメージがありますが、これはその名の通り「人に仕える」ことで人を前向きに動かそうというもの。グイグイと人を引っ張るのではなく、リーダーの方がフォロワーに尽くすことで、結果的にフォロワーがリーダーを信じてついてくる。ピラミッドの上に立つのではなく、逆ピラミッドを下から支えるイメージです。控えめな日本人に合致したリーダーシップスタイルではないでしょうか。

1.04.2009

『ビジョナリー・カンパニー』/ジェームズ・C. コリンズ、ジェリー・I. ポラス

遅ればせながらようやく読みました。率直な感想を言えば、非常に緻密なリサーチのもとに書かれた素晴らしい本だと思います。

ビジョナリー・カンパニーとは、その名の通り未来志向で先見的なビジョンを持った企業。業界で卓越した業績を上げており、同業他社からも尊敬を集めている企業。そして、その製品やサービスで世に大きなインパクトを与えている企業。

こういった企業の共通項が“基本理念”でした。カリスマ的なリーダーは、いずれリーダーは会社を去る。でも、組織はそのまま残る。“時を告げる”(時代を読む)のではなく、“時計を作る”(誰でも時が分かるようにする)ことが、リーダーとしての最大の使命だというわけです。

ところがヨメにこの話をしたところ、日本企業では当たり前のことじゃない?というシンプルな感想が返ってきました。確かにその通りかもしれません。アメリカ人にとっては個人ではなく組織の重要さへと目を向ける転機に本書がなったのかもしれませんが。

そして、出版時(1994年、日本では95年)から15年近くを経て、残念ながら取り上げられている企業の中には落ちぶれてしまった企業も少なくありません(金融危機前の段階ですでに)。理念を大切にしている企業だけに今後も安泰だろう、というような記述があったのですが…。もはや本書が書かれた時代からも、急速にパラダイムが変化したということでしょうか?

1.03.2009

『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』

あと一歩で歴史に残るシニカルな反戦映画になったことでしょう。“ソ連を滅ぼした男”として知られるアメリカの元下院議員の暗躍を、トム・ハンクスが映画化権を買い取り、『卒業』のマイク・ニコルズが監督。

1980年代。チャーリー・ウィルソン(トム・ハンクス)は、オフィスに“チャーリーズ・エンジェル”と呼ばれる美女たちをはべらし(あの同名映画のモデルだそうです)、女遊びやコカインが大好きな破天荒な民主党議員。政治家としては大したことないけど、愛嬌あふれるキャラで人気があった。あるとき、大富豪の未亡人ヘリング(ジュリア・ロバーツ)から、アフガニスタンでソ連と戦うイスラム・ゲリラのムジャヒディーンへの支援を持ちかけられ、彼女の美貌にやられ協力することに。冷戦中のため、アメリカは表立ってアフガンを支援することはできないから、極秘作戦として予算を通し、最新鋭の兵器をムジャヒディーンに融通する。これを契機にソ連はアフガンを撤退し、ソ連崩壊へとつながったというわけです。後にこの暗躍が暴露されたチャーリーは、ソ連を滅ぼした英雄として持ち上げられることになるのです。

この映画の面白いところは、チャーリーがヘリングへの下心満載でアフガン支援を買って出たり、アフガニスタンとパキスタンを混同する議員がいたりと、アメリカの政治家がいかに自己の利益のために動いたり、世界情勢について無知であるかが皮肉たっぷりに描かれているところ。アメリカ政治の暗部を垣間見ることができます。

そして最大の皮肉は、アメリカという国が目の前の国益を重視するがために、“敵の敵は味方”式に長期の展望もなしに場当たり的な政策を取るという一貫性のなさ。10数年後、ムジャヒディーンの一味だったオサマ・ビン・ラディンが911を主導したことは、言うまでもありません。

だから個人的には、航空機がワールド・トレード・センターに突っ込む映像をエンディングに持ってくれば、最高にシニカルな反戦映画になったのに、と残念でなりませんでした。

1.02.2009

『世界で戦うキャリアづくり』/脇若英治

正月早々、いい本を読んだと思います。

オイルメジャーで活躍した初の日本人と言われ、現在はBPジャパン社長である著者が、自らのビジネス人生や哲学、考え方を語った本。同じダイヤモンド社から出ている『外資系トップの仕事力』の脇若さんの頁をさらに詳細に語ったような本で、いくつか流用している部分もあります。やや出版社側の手抜きに感じられなくもないのですが、さらに深く濃密な内容になっているのでよしとしましょう。

・大きな目標など立てずに、目の前の山を登りきれば、また違った景色が見え、新しくさらに高い山に登りたくなるという発想
・人生を12年周期で捉える手法
・2年で結果を出す「6・12・6の法則」
など、すぐに実行に移せるアイデア・考え方が満載です。

また、最終章では日本の問題点を指摘し、イギリスのビジネスパーソンの優れた点を述べているのですが、この箇所には大いに共感させられました。小さくまとまろうとしている自分のせせこましさに気づかされ、背中を押された気がしました。

前向きな気持ちで年明けの仕事に臨めそうです。

1.01.2009

猫パラダイス。

天気が良かったので家の近所を散歩。正月は平時とは打って変わって人が少なく、非常に歩きやすかったです。

猫たちも同じ考えなのか、散歩したり、会合したり、日向ぼっこしたり。猫にとってもパラダイスのようです。