2.28.2009

Esquireも休刊。

ある意味、『広告批評』の休刊以上にショッキングなニュースでした。

日本版Esquireは、日本の男性誌で唯一“まとも”と言ってもよかった雑誌です。いつも独自の切り口で特集を組み、デザインやグラフィックのクオリティも相当高かったですから。事実、今月号の「学び」の特集も読み応え十分。

こんなハイセンスで価値ある雑誌が生き残れないなんて、日本の出版業界はほんと終わってますね。。。

2.21.2009

『スカーフェイス』

アル・パチーノが『ゴッドファーザー』以上の名演技を見せ、名作との誉れが高かったので見てみましたが…、残念ながら僕にとっては駄作でした。

キューバからアメリカに亡命し、麻薬取引で名をあげたトニー。野心に満ちあふれ、裏社会でのアメリカン・ドリームを実現したものの、次第に誰も信用できなくなり、最後は最も身近な人に銃口を向けられるという物語。

『ゴッドファーザー』のような文学性がなく、ただの抗争ものに終わってしまっている点が残念。アル・パチーノの演技も過剰な印象で、『ゴッドファーザー』での静かな中に闘志を秘めた演技の方に僕は軍配を上げます。アル・パチーノはこの後しばらく俳優としての低迷期を迎えますが、それを象徴するようなエンディングです。

2.20.2009

中川 酒

中川元財務大臣のおかげで、少し円安ドル高になったそうです。財務大臣があんな答弁をしたのだから、日本経済はダメだと思われてもしょうがいないか。今やあの醜態がYouTubeで世界に配信され、「中川 酒」の検索でもすっかりおなじみになっちゃいましたからね。

中川さんって日本の政治家には珍しく、外見的に世界に出して恥ずかしくない人だと思っていましたが…。残念。

2.18.2009

『ゴッドファーザー』に男の生き方を学ぶ。

ここ数日、僕の頭の中ではあのゴッドファーザーのテーマ曲がひっきりなしに流れています。BSで『ゴッドファーザー』三部作を連続で見て以来、あの世界観の虜になってしまったようです。

実は高校生の時にも一通り見たのですが、当時は複雑な人物関係が把握できなかったり、あまりに長すぎて途中寝てしまったりと、きちんと見たとは言えませんでした。

それが今見ると、あまりの奥深さに脱帽。映画史に残る名作と言われる理由がよく分かります。三代にわたるコルレオーネ一族の壮大な物語。マフィアなので暴力・殺人もいといませんが、義理人情に篤く、何より「家族を大切にしないものは男じゃない」というドンの言葉からは、男の生き方を学べます。

『ゴッドファーザー』の魅力は、この原作および脚本の秀逸さ、黒の中の黒を表現した映像美、ニーノ・ロータの哀愁漂う音楽、コッポラ監督による演出など色々あると思いますが、やはり何と言っても名優たちによる名演技の対抗戦でしょう。マーロン・ブランドの落ち着き払った風格に、アル・パチーノの冷酷な眼差し、そして若き人格者を完璧に演じきったロバート・デニーロ。この三人を中心にジェームズ・カーンやロバート・デュバルが脇を固めているのですから。

それだけに、PartⅢのソフィア・コッポラはやはりいただけません。愛娘を女優に育てたいというコッポラの親心でしょうが、名優たちの中に素人が一人混じっただけで、画面から緊張感が失われてしまいました。コッポラ監督も言うように、PartⅢは別モノとして捉えた方が良さそうです。

2.15.2009

人材立国シンガポールの衝撃。

いつも秀逸な、NHKスペシャルの「沸騰都市」シリーズ。今夜はシンガポール。東京23区とほぼ同じ大きさ、資源がなく、人口もわずか480万人というこの国が、人材立国という政策を徹底し、世界中から優秀な人材をかき集めている様が描かれてました。

2年前に一人当たりGDPで日本を抜き、アジアNo.1国家となったシンガポール。優れた研究者を驚くほどの厚遇で迎えると同時に、建設作業の労働者などは南アジアの貧しい国から低賃金で集めてくる。非常に“資本主義的”な政策は日本的な価値観とは相いれないものだと思いますが、それしか生き残る道がないだけに、リー・シェンロン首相(リー・クワンユーの息子)は迷いがありません。漢字もまともに読めない日本の総理とは大違いです。

そう言えば、留学中に友達になったシンガポール人は一人の例外もなく優秀でした。僕の会社のAPの本部もシンガポール。残念ながら、今の日本ではとてもシンガポールには太刀打ちできないというのが、僕の実感値です。

2.11.2009

ボールの弾道だけで人を感動させる男ベッカム。

民放でACミランの試合をやっていたので見てみました。

ベッカムがキレキレなのに驚きました。全盛期のマンU時代を彷彿とさせるような鋭く曲がる美しい弾道のクロスが、33歳にもなって、しかもイタリアで見られるとは。

ベッカムに関しては、ルックスをはじめスター性ばかりもてはやされ、それをやっかむ向きもありますが、サッカーが興行物だということを誰よりも理解し、率先して実行しているのは立派だと思います。なんせ、ボールの弾道だけで人を感動させられる男ですから。

2.08.2009

『91%の社員は「ムダ!」である』/梅森浩一

日本企業はプロセス重視で、米企業は結果オーライと書いたところで、ちょうどタイムリーにそのことを裏付けるような本を読みました。『「クビ!」論。』という刺激的な著書がある梅森さんの近作です。

ビジネスにおける評価は他人目線。梅森さんが最終的に言いたかったのは、このことではないでしょうか? いかに自分が努力したつもりでも、結果が伴わなければ自己満足に過ぎない。その結果も、他人から見て成果と呼べるものである必要がある。この当たり前のことが分かっていない人が、ビジネスでもスポーツの世界でも日本にはあまりに多いような気がします。

「91%の社員はムダ」と断言する根拠は、日本企業の社員の91%がエンゲージメントではないという調査結果に基づいたもの。根拠としてはやや薄弱ですが、エンゲージメントの重要性を喚起しようという意図が込められているのでしょう。

2.07.2009

プロセス重視の日本企業と、結果オーライのアメリカ企業。

先週は、毎年恒例、人事のための年に一度の大会HRDに行ってきました。そこで、日米それぞれの企業が事例を発表するセッションを2つ聴講したのですが、どちらも日本企業と米企業という対比が鮮明に表れるものでした。

【日本企業】=プロセス重視。結果が出なくても、今回は運が悪かったためで、過程を大切にしていればそのうち結果は伴うはず、と考えるなどプロセスが目的化してしまうことも。

【米企業】=結果重視。プロセスも重視するものの、結果が伴わないプロセスは全く意味がないと考える。結果オーライ的なところも。

一般化できないことを承知の上で、すごく大雑把に言えばこうなるのではないでしょうか?

発表の中で、日本企業は取り組みばかりにフォーカスし、結果に対する考察はほとんどなし。プレゼンの仕方も、日本企業が文字だらけのスライドをほぼ読み上げるだけだったのに対し、米企業のスライドは図表が中心で、映像を交えたりユーモアも交えたりとインタラクティブ感たっぷり。

でも、最後の質疑応答では、日本企業の方に多くの質問が集中するのです。つまり、まだまだ日本的な企業が多いというのが実態なのでしょう。勉強になりました。

2.03.2009

『マネー力』/大前研一

話題になっていたので読んでみましたが、たまげました。

前半は日本人に、お金に関する意識改革を迫るような内容。明確な根拠が示されないながらも、鋭い舌鋒は大前節炸裂といった趣でなかなか読み応えがありました。

ところが、5章から先はビジネス・ブレークスルー大学院大学の完全な宣伝。卒業生の声で紙幅を稼いで、スクールへの勧誘を促す。結局、この本の中では実践的な資産運用スキルは述べられていません(スクールで教える、というスタンスですから)。勝間和代さんや中原圭介さんの本のようなイメージで手に取った僕は、腰を抜かしそうになりました。

それでも刺激を受けたことは受けましたがね。それにしても大前さんは商売上手だこと。