12.21.2007

トルシエマジックよ、再び。

フィリップ・トルシエ氏がFC琉球の総監督に就任するというニュースが、ちょっぴりうれしかったりします。何を隠そう、僕はトルシエ氏のファンでした。

トルシエ氏は、外見からして存在感があります。185cmの巨体を揺すらせ赤鬼のような形相で選手を鼓舞していたかと思えば、女性を前にすると丸顔に柔和な笑顔を浮かべたり。大まじめな顔して話すフランス語もなぜか笑えてしまい、大げさで意味不明なジェスチャーもどこかコミカル。通訳のダバディー氏とのかけあいは、お笑い芸人のようでした。

サッカー監督としての力量も優れていると僕は思います。日本代表監督時代には選手を規律で縛りすぎたとか言われていましたが、当時の日本代表を指揮する上では最も理にかなった方法だったでしょう。何よりアジアカップ優勝やワールドカップ決勝トーナメント進出という結果を出したわけですから、文句は言えません。選手交代が下手だという指摘もありましたが、そんなのは監督の仕事のほんの一部分に過ぎません。そこだけを取り上げて批判するのは筋違いでしょう。

そしてトルシエ氏最大の功績は、クリティカルな発言の数々。「赤信号でも車が来ていなければ渡ってしまえ」は、お上(信号)にすべてを委ねるのではなく自分で考えて判断せよ、というメッセージ。「コンビニがあるから日本はダメなんだ」は、いつでも買いに行けるのをいいことに、計画性とハングリー精神を失った日本人を痛烈に批判する言葉。選手のみならず、日本人のメンタルを変えに来た伝道師だと僕は思っていました。

それにしても、トルシエ氏は各国の代表監督へのオファーもあった中でなぜFC琉球を選んだのでしょう? こう言っては失礼ですが、一部上場企業のCEOから名もなき小企業の経営者に成り下がったようなもの。それとも、大企業では出会えなかったやりがいを見つけたのでしょうか? イスラム教徒に改宗して、人生観の変化があったのでしょうか? 沖縄から、再びトルシエ旋風を巻き起こしてくれることを期待します。