2.28.2008

国家にもブランディングが必要だ。

昨夜は、Temple University, Azabu HallにてNation Brandingについての講義を受けてきました。Keith Dinnieというこの分野の第一人者が講師を勤め、受講生は大半が外国籍の人でした。

Nation Brandingという言葉は聞きなれませんが、その名の通り「国家のブランディング」です。以下、簡単にノートを。

■Nation Brandingとは
・まだ学術的には掘り下げられていないにもかかわらず、膨大な実作業が必要な分野
・visual, identity, history, cultureなど総合的な働きかけが必要
・その時の政権が方針を決めるため、政権交代によりがらりと方針転換することも

■Nation Brandingの3つの目的
1 観光客の招致
2 自国への投資を奨励すること
3 自国製品の輸出を増加させること
それに加え、
4 外交において影響力を増すこと
5 留学生や(知的)労働者を引き付けること

■Nation Brandingの例
1 イギリス
・ブリティッシュ・カウンシルによるCool Britanicaでは、creative, innovative, modernなイメージを打ち出している
・ただ、イギリス人の半分くらいは、このイメージは実態に合っていないと感じている
・多くの留学生を呼び込み、経済・社会が活性化するなど、成功していると言える

2 スコットランド
・The Best Small Country In The World.というキャンペーンを実施
・これは他の小国の出身者はもちろん、スコットランド人からも不評

■日本のNation Branding
・「日本のイメージと評価を上げ、世界中の人から愛されリスペクトされる国を目指す」というのがスローガン
・各官庁が行っているが、一般にはほんとんど浸透していない

具体的な施策としては、
1 豊かな食文化をアピール
2 多様で信頼できるローカルブランドを作る(ソニーとか)
3 日本のファッションをグローバルブランドにする

ノートは以上です。

ちなみに、Nation Brandingに一番成功していると言われる国はスイスだそうです。確かに好きな国・行きたい国投票なんかでも大抵1位ですものね。

そして、この分野においても日本は後進国だと感じました。いつも思うのですが、日本人が英語勉強したりして国際化するよりも、Nation Brandingをしっかりやって、外国人を多く呼び寄せることで日本を国際化させた方が早く効率的ではないでしょうか? また、海外で日本について話すときって人それぞれだと思うのですが、これに関してもbrandingによってひとつの拠り所ができるのではないでしょうか。

もう1点学んだのは、リーダーシップの重要性です。ブランディングにおいても、誰かが立てた方針を誰もが気に入るわけではありません。だからこそ、強烈なリーダーシップをもって思い切って行動する必要があると思うのです。