2.27.2008

『乳と卵』/川上未映子

読んでみました。31歳の若さ、歌手としても活躍している美人作家、2作目にして芥川賞受賞、と話題性には事欠かないこの小説。

しかし、文学ってホント分かりません。

読点で文章をつなぐだけで、一文がやたら長くて読みにくい文体。それも関西弁がベースになっているから、言葉を理解しきれない読者もいるかもしれません。でも、我慢して読んでいるうちに、この文体が心地よく感じられるようになり、目が離せなくなったりして。

ストーリーは、豊胸手術をしようとする母とコミュニケーション・ブレイクダウンに陥った小学生の娘が、東京の妹(娘にとっては叔母)を訪ねた先で言葉を取り戻すというもの。このあたりの話は、30代男性の僕には最も縁遠いことなので、ほとんど共感できませんでした。ただ、ストーリーはこの際重要ではなく、ディテールに現代を生きる人の見えない叫びが翻訳されています。その意味では、文学として成功していると言えるのでしょう。

芥川賞選考会でも賛否両論で、絶賛する人もいれば、石原慎太郎氏なんかはメッタ斬りにしたとか。ひとつ言えるのは、文学には正解などないということでしょう。