2.21.2008

環境問題の闇。

ちょいと衝撃的な記事を読みました。今月号の文藝春秋に掲載されていた『日本よ、「京都議定書」を脱退せよ』という記事です。地球温暖化問題を環境や人道面から捉えているのは日本だけで、他国はどこも熾烈な政治レースを展開しており、日本は完全に敗北しているというのがその主張です。

著者の武田邦彦氏は中部大学総合工学研究所教授で、『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』という本を出すなど積極的に発言しています。

著者いわく、1997年の京都会議で、CO2削減目標を「1990年比」とさせられたことが鍵となったそうです。なぜ1990年かというと、EU諸国やアメリカにとって一番都合のいい数字になるからで、日本のように1980年代から省エネに取り組んできた国は、削減する余地が少ないため不利になるわけです。確かに僕も当時「なぜ1990年比なんだろう?」と疑問に思った記憶があります。日本は議長国なのに蚊帳の外。

アメリカやEUの真の目的は、中国やインドといった新興国の経済発展を抑制することにあったと言います。結果的に中国やインドは京都議定書を批准せず、アメリカもEUも脱退したため、今や削減目標を負っているのは日本だけという状況。それも達成が困難なため、排出権を買って、また資金が流出していく。つまり、日本の一人負け状態が恒常化しているというわけです。

正直、この著者の主張には急進的すぎる部分があるとは思います。例えば、アル・ゴアにノーベル賞をあげたのは環境問題の正当性にお墨付きを与え、金をとるためだとか。また、温暖化によって最初に沈むと言われている南太平洋の小島ツバルは、実は温暖化の影響ではなく地盤沈下によるものだが、ツバルもこの状況にかこつけて献金してもらっているとか。このあたりの主張は、眉唾ものだと思います。

ただ、日本が国際政治で負けまくっているのは事実でしょう。日経の「私の履歴書」で今、日本サッカー協会の川渕三郎キャプテンが連載していますが、結果的に共催となった日韓ワールドカップの招致合戦でも、韓国に完全に食われていたのが分かります。この政治下手、何とかならないものでしょうか?

僕自身、昔から環境問題には関心があり、高校生の頃はクラスメートから「エコロジー野朗」などと呼ばれたこともあるのですが、ただ闇雲に「地球環境を何とかしなきゃ」と思うのは早計だということですね。