9.21.2009

『コズモポリス』/ドン・デリーロ

現代アメリカ最高の作家の一人と称されるドン・デリーロ。いつかは読まねばと思っていたので、この連休を機に手にとってみました。

2000年頃のニューヨークを舞台にした、金融マンの日常を追った物語。金融会社を経営する主人公は、ハイテクリムジンに乗って街中を疾走し、電話で部下に指示を出す。円相場の上げ下げに一喜一憂し、巨万の富を稼ぎながらも心の底からの満足を得られていない様子。そのうち何者かに命を狙われていく。

金融マンの虚無を描いた点はリーマンショックを予見していたかのよう。ただ、主人公の陥る精神世界や破滅へと向かう道程が難解で、とにかく分かりにくい。登山のような読書体験でした。そして、当のアメリカ人がこれを読んでどう思うのか聞いてみたいところです。