9.13.2009

『ブロークン・イングリッシュ』

あのジョン・カサヴェテスとジーナ・ローランズの娘、ゾエ・カサヴェテスの監督デビュー作。どうせ親の七光りだろうし、タイトルとスチール写真からチープな恋愛ものだろうと推測し、あまり期待しないで見たら、意外と奥が深く印象的な映画でした。

平たく言えば、ニューヨークを舞台にした30代独身女性の婚活映画です。主人公ノラはきれいで性格もいいのに、いい出会いに恵まれず、自分が世界一男運の悪い女だと思っている。ところが、気乗りせずに行ったパーティーで帰り際にフランス人のジュリアンと出会う…。

これだけで展開は読めてくるものですが、実はジュリアンを追って行ったパリでの自分探しがメインテーマ。仮にこの映画を前半(ニューヨーク編)と後半(パリ編)に分けるとしたら、これほど雰囲気ががらりと変わってしまう映画も珍しい。前半は典型的なアメリカ映画っぽく、後半は観客に答えを委ねるような終わり方に象徴されるようにフランス映画っぽい。正直、男目線からすれば解せない場面も多々あるのですが、同じような境遇の女性は大いに共感するのではないでしょうか。僕の周りにもノラのような女性がいくらかいるので、オススメしよっと。

映像がとても瑞々しく印象的です。中でも驚いたのが、ニューヨークを撮るのがうまいこと。さすがカサヴェテス家の血筋を引いている?