11.27.2007

『小説 ザ・外資』/高杉良

書店に平積みになっていたので、たまたま手にとってみたものです。小説というよりも、長銀破綻の舞台裏が描かれたノンフィクションとして読みました。

金融破綻や企業買収といった事象は、日々ニュースで目にしても、実際に当事者たちがどのようなやりとりをしているのか見えにくいもの。それを小説という形態を使って分かりやすく描写したという点では、読む価値があると言えるでしょう。

ただし、小説としては残念ながら成功しているとは言い難いです。主人公の別れた妻や娘との関係、アメリカ人上司の妻との不倫、新しい職場での女性関係といった痴話話を持ち出して無理くり小説っぽくしているものの、本筋とは全く関係なく浮いてしまっている印象を拭えませんでした。

ノンフィクションとして出版するためには、関係者の許諾など 膨大な作業を要します。当然、外資金融が出版を許可するはずもなく、やむなく匿名性の高い小説という形態をとったというところでしょうか。