5.09.2009

『ロジカルリスニング』/船川淳志

「聞く・話す・読む・書く」というコミュニケーションの4大要素のうち、実は使用頻度が最も多いのは「聞く」である。なのに教育での優先順位は一番低い。コミュニケーションの質を高めるためには、頭を使って意識的に聞くことが必要である。

著者は“ロジカルリスニング”という造語を提示して、積極的傾聴スキルの重要性を世に問いました。確かに「聞く」ための授業というのは受けたことがありません。

具体的には、Description(事実、自分が取り入れた情報を描写する段階)、Interpretation(解釈の段階)、Evaluation(評価の段階)というステップに分ける「D.I.E.モデル」、思考の放棄症・思考の依存症・思考の歪み・思考の偏りからなる「思考の四大生活習慣病」などのフレームワークを紹介しています。

解説も全般的に理解しやすいため、トータルで見れば良書だと思います。ただ残念なのは、全8章のうち半分は背景説明で、肝心の実践部分はやや少ないこと。入門書としてはいいと思いますが、これを読んだだけで飛躍的にリスニング力が増すまでには至りません。