4.26.2009

『音楽は自由にする』/坂本龍一

坂本龍一の自伝です。

坂本龍一の音楽は中学生の頃からずっと好きだったというのもあり、一気に読み終えてしまいました。ピアノとの出会い、名編集者だった父(三島由紀夫の『仮面の告白』などを担当)との関係、学生運動への傾倒、ミュージシャンや文化人との幅広い交友関係、YMO、俳優としての活動、映画音楽など、本人の口から語られる言葉は現在の日本の音楽史の貴重な記録です。個人的には、戦後の日本を引っ張ってきた全共闘世代の回顧録としても面白かったです。

ただ、それは坂本龍一という人間が面白いのであって、本の作りには疑問を呈してしまいます。一番は『エンジン』という車雑誌に掲載された連載をまとめたものであるため、深堀りが少ないこと。もっと知りたい、と思うところで次の話題に移ってしまうのがやや残念でした。