4.18.2009

『スラムドッグ$ミリオネア』

ようやく日本でも公開になり、待ってましたとばかりに初日に見に行ってきました。アカデミー賞で散々話題になったし、イギリスに住んでいる友人とか何カ月も前からいい作品だと言っていただけに、どれだけ歯がゆい思いをしたことか!

そして、やはり見て良かった! クイズの問題がすべて主人公に関連があるなどストーリーができすぎの感もありますが、それは映画だから良しとしましょう。

この映画の魅力は、臨場感。ムンバイのスラム街は疾走感たっぷりに、タージマハルは荘厳かつ美しく描き、行ったことがなくても行った気にさせられるなど観光映画としての側面もあると思います。振り返れば、ダニー・ボイル監督は代表作『トレインスポッティング』でも、エジンバラという街の魅力をうまく引き出しながら、そこで麻薬漬けになって暮らす底辺の若者たちを描いていました。街と市井の人を描くのがうまいですね。

その上で訴えたかった大切なメッセージは「お金がすべてじゃない、お金より大切なものがある」。同じ境遇ながら、金と権力の虜になっていく兄との対比や、彼がクイズ・ミリオネアに出場した真の理由が明らかになった終盤、最後の質問に本当のヤマ勘で答えるところに象徴的に表れています。金融資本主義への反省かまびすしい今年3月のアメリカでアカデミー賞を8部門も受賞したのも、よく分かる気がします。

そして最後は、歌って踊ってのマサラムービー。ハッピーで清々しい気分で締めくくられる、まさに時代が求めていた映画だと言えます。


http://slumdog.gyao.jp/