遅ればせながらようやく読みました。率直な感想を言えば、非常に緻密なリサーチのもとに書かれた素晴らしい本だと思います。
ビジョナリー・カンパニーとは、その名の通り未来志向で先見的なビジョンを持った企業。業界で卓越した業績を上げており、同業他社からも尊敬を集めている企業。そして、その製品やサービスで世に大きなインパクトを与えている企業。
こういった企業の共通項が“基本理念”でした。カリスマ的なリーダーは、いずれリーダーは会社を去る。でも、組織はそのまま残る。“時を告げる”(時代を読む)のではなく、“時計を作る”(誰でも時が分かるようにする)ことが、リーダーとしての最大の使命だというわけです。
ところがヨメにこの話をしたところ、日本企業では当たり前のことじゃない?というシンプルな感想が返ってきました。確かにその通りかもしれません。アメリカ人にとっては個人ではなく組織の重要さへと目を向ける転機に本書がなったのかもしれませんが。
そして、出版時(1994年、日本では95年)から15年近くを経て、残念ながら取り上げられている企業の中には落ちぶれてしまった企業も少なくありません(金融危機前の段階ですでに)。理念を大切にしている企業だけに今後も安泰だろう、というような記述があったのですが…。もはや本書が書かれた時代からも、急速にパラダイムが変化したということでしょうか?