1.09.2009

『シンクロニシティ』

会社の人に薦められて読んでみましたが、不思議な本です。ビジネス書、小説、自伝、フィクションと様々な要素が組み込まれています。

シンクロニシティとは、2つ以上の出来事が重要な意味を持って同時に起こること。日本語では「共時性」と訳されます。ただ、それらはただの偶然ではなく、本人が強い意志を持ったときに生じるめぐり合わせ。それは「行動」ではなく「あり方」によって、生み出されるパワーだということを、著者自身の物語を通じて伝えているのです。

著者は絵に描いたようなエリートコースを歩み、弁護士として輝かしい成功を収めます。しかし、あるときすべてを投げ打って、リーダーシップ開発の旅に出る。すると、協力者や助言を与えてくれる者など、必要な出来事が必要なタイミングで起きるようになった。そして、アメリカでも有数の団体へと育てあげるのです。こういった成功譚をただ書き連ねてもなかなか信憑性が薄いので、物語という体裁をとっているのでしょう。

個人的にこの本の中での一番の学びは、サーバント・リーダーシップという概念でした。リーダーシップと言えば、皆の先頭に立って道を切り拓いていくというイメージがありますが、これはその名の通り「人に仕える」ことで人を前向きに動かそうというもの。グイグイと人を引っ張るのではなく、リーダーの方がフォロワーに尽くすことで、結果的にフォロワーがリーダーを信じてついてくる。ピラミッドの上に立つのではなく、逆ピラミッドを下から支えるイメージです。控えめな日本人に合致したリーダーシップスタイルではないでしょうか。