3.24.2011

『原子炉時限爆弾』/広瀬隆

今話題の書、Amazonでは在庫切れなのを書店でたまたま入手できました。

内容の信憑性について賛否両論あるようですが、読まないよりは読んだ方がいいと思いました。自分が、地震大国であり資源小国である日本に住む上で知っておくべき基本知識をあまりに知らなさ過ぎていたことに、今さらながら気づかされました。福島第一原発の事故に関しては、すべてが本書の通りになっているわけではありませんが、大筋では著者の不安が的中しています。政府発表や何某大学教授といった権威を闇雲に信じるのではなく、この混沌とした状況を自分の頭で判断できるようになるための一つの材料として有効です。

本書の優れている点は「分かりやすさ」です。日本列島の国土の成り立ち、地震の起きるメカニズム、原子力発電や放射性物質の原理、日本の原発が持つ耐震性の構造的欠陥などについて、一般の人の疑問に答えるかのように噛み砕いて説明してくれています。これは著者が学者ではなくジャーナリストだからこそ可能であったことでしょう。原発の専門家からは懐疑的な目を向けられたり、相手にされなかったりしているそうですが、それはあまりに痛いところを突いているからでは?