10.26.2009

『モウリーニョの流儀』/片野道郎

ジョゼ・モウリーニョはサッカー監督として、人間として、実に興味深い人物なのですが、これまで日本で出版されていた書籍というのは外国で書かれたものの翻訳ばかりでした。そのため、感覚や語調に違和感を覚えることがあったのは僕だけではないでしょう。本書の価値は、恐らく初の日本人著者によるモウリーニョ本ということにつきるのだと思います。

モウリーニョがインテルの監督となって1年目の2008-09シーズンに絞ったノンフィクションとなっており、自分のスタイルをイタリアに持ち込み、イタリアの現実に最適化していくまでを克明に描いています。自分のスタイルに固執しすぎることなく柔軟に現状に適応させていくあたり、プライドが高く我が強い選手たちを信賞必罰によってモチベートしていくあたりは、リーダー論としても秀逸です。また、売られたケンカは買う、というポリシーに基づいたメディアやライバルチーム監督との丁丁発止のやりとりは読んでいて実に爽快でした!