6.09.2011

『日本中枢の崩壊』/古賀 茂明

「日本の裏支配者が誰か教えよう」という帯のコピーに引かれ、手に取りました。

これまで霞ヶ関の官僚たちは優秀なのだと漠然と信じ込んでいましたが、本書を読んで認識を大きく改めさせられました。本来は国民のために働く彼らが、いかに霞ヶ関の掟に則り、総理や与党まで見下しながら、自分たちの既得権を守るために陰湿かつ無駄な活動に奔走しているか。驚愕の事実が綴られています。

現役の官僚が自身も属する組織を糾弾しているのですから、一種の暴露本あるいは内部告発本と言えるかもしれません。それだけに内容には信憑性があり、著者の覚悟がひしひしと伝わってきました。公務員制度改革は待ったなしの状況なのだと。それに加え、福島原発事故の原因が役人以上に役人的な東京電力の体質にあったという考察も秀逸。さらには、経産省の役人だけあって、日本の産業界を活性化するための提言もたっぷり盛り込まれています。日本が今抱える問題の数々は同根なのだと思い知らされます。

僕にとって心の底から読んで良かったと思える本は年に数冊程度ですが、本書は紛れもなくその1冊です。