11.22.2009

『のめり込む力』/川上真史

非常に素晴らしい本だと思いました。今、職場で人々が感じているであろう問題点を冷静に分析し、対処方法を提示しています。

本書の主張を簡単に言えば、以下のようになると思います。日本が成熟社会を迎え、社員の働く動機が変わってきている。また、仕事の難易度も以前に比べ格段に上がっているため、古いパラダイムの仕事論はもはや通用しない。なのに多くの日本企業は、これまで通りポストや収入といった「外的動機」に訴えることで社員の働く意欲を高めようとしている。今後は社員が自ら楽しむという「内的動機」を軸にした働き方がメインになる。そのためには企業側は感興を整備し、社員側も自ら楽しみを見つけることが必要になる、というものです。

個人的には、抽象的な事象を科学的に整理している点が良いと思いました。例えば、ソーシャルパワーを5つに分類し、正当パワーを発揮すべきという指摘。ストレスの問題をストレッサー(原因)とストレス反応(結果)に分けて考えるべきという指摘。

各章の終わりにポイントがまとめられており、要点を復習できるようになっている工夫も親切です。