久々の更新となりました。しばらくブログから離れツイッターに軸足を移していたのですが、やはりある程度まとまった考えを書こうと思ったら140字は短すぎました。
さて、話題の映画『ソーシャル・ネットワーク』を見てきましたが、期待に違わぬ大傑作でした。今や全世界に5億人の登録者を抱え、総アクセス数でグーグルを抜き、世界一のウェブサイトとなったフェイスブック。ハーバード大学在学中にフェイスブックを立ち上げ、弱冠26歳にして最年少の億万長者となった男マーク・ザッカーバグの物語です(フェイスブック側は認めていないようですが)。
この映画の何がすごいって、とにもかくにも脚本です。映画はマークとガールフレンドの口論から始まり、彼のうっとうしいまでの理詰めの追及から、その頭脳明晰ぶりや変人ぶりがまず明らかにされます。しかし、実はこれ以降、マークが自分の考えを表明する場面はほとんど登場しません。映画の大半は、訴訟シーンと周囲の人たちのマークとの関わりや感情のフラッシュバックだけ。これでマーク・ザッカーバーグという人間を浮き彫りにしていくわけです。例えれば『市民ケーン』と同じ構図(実際、本作を“21世紀の『市民ケーン』”と評するレビューも目にします)。
それにしても、最先端のテクノロジーを駆使し、生き馬の目を抜くビジネスに身を投じる若者たちを描いているにもかかわらず、そこで渦巻くのはカネ・友情・嫉妬・権力・階級といった人類普遍のテーマであることに何とも切なくなります。『ソーシャル・ネットワーク』というタイトルは、創業者が最も社会性がないことの皮肉に思えてなりません。いずれにせよ、旬のネタをこれほど見事に調理したデイビッド・フィンチャー監督の手腕に脱帽です。
唯一残念だったのは、トレーラーで流れていた「クリープ」(レディオヘッドのカバー)を本編でもエンドロールでも耳にしなかったこと。この曲はまるで教会で歌われる賛美歌のように幽玄な響きがあるのに、内容は“変態”について。これほどマーク・ザッカーバーグを的確に表現しており、この映画を締めくくるのに相応しい曲はなかったと思うのですが。
1.25.2011
『ソーシャル・ネットワーク』
ラベル: films
9.02.2010
『ワールドカップは誰のものか―FIFAの戦略と政略』/後藤健生
サッカーの見方が変わる本かもしれません。マラドーナがたしか90年W杯で準優勝に終わった後(別の場面だったかもしれません)、「サッカー界にはマフィアがいる」と泣きながら訴えていたと記憶していますが、本書を読んでその意味するところが分かったような気がします。
と言っても、本書はサッカーの本というより、政治や外交の本といった方が適切かもしれません。特に面白いのは第1部「ワールドカップと政治」で、W杯という巨大ビジネスの舞台裏でFIFAがどのような戦略をとっているか、またFIFA内でどんな権力闘争が繰り広げられているかが描かれています。あの疑惑の判定は、あの日程・組み合わせは、実は仕組まれていたのか?なんて数々の場面が脳裏をよぎったりしました。
逆に第2部「南アフリカ開催の意義」は、もはや南アW杯が終わった今、積極的に知ろうとするモチベーションを保てませんでした。結局「ワールドカップは誰のものか」というタイトルに、明確な答えを出していないのも残念です。
8.03.2010
Eat, Pray, Love./Elizabeth Gilbert
30台の悩める女性向けかと思いきや、男性にも大いに楽しめる本でした。英語も平易で読みやすく、英語の勉強に最適です。
ジャーナリストとしての安定した仕事と行き詰っていた夫婦生活を捨て、1年間の旅に出たアメリカ人女性の自叙伝。イタリアでは食を、インドでは信仰を、そしてインドネシアのバリでは現世と精神世界のバランスを追求するとテーマを決めて、4ヶ月ずつ滞在。それぞれの土地でのかけがえのない出会いを通じて、人生の真理へと行き着くという物語。
こう書くと「いかにも女性向け」という感じがするかもしれませんし、事実、“神”との対話などスピリチュアルな話には、やや食傷気味になることもありました。また、すごく意地悪い見方をすれば、全編が著者のハッピー自慢に過ぎないかもしれません。それでも、著者を取り囲む登場人物たちが魅力的に描かれており、一緒に著者を応援したくなってくるから不思議です。そんなポジティブなパワーが本書にはあふれています。同時に観光ガイドとしての側面もあり、特にバリに行きたくなってしまいました!
2010年9月には映画が公開されますが、このストーリーがどう映像化されているのか見ものです。
ラベル: books
