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12.03.2009

『SEOブランディング』/影浦誠士

素晴らしい本ですね。既存のSEO本とは一線を画しています。

SEOと企業ブランディングという一見無関係な両者ですが、本質的には同じだというのが本書の主張。小手先だけのSEO本とは違い、事業戦略とSEOをセットで考え、長期的視点でいかにユーザーからの信頼を獲得していくべきかを説いていきます。「京都にある農家」という架空の企業を例にしたSEO/ブランディングのプロセスを自社に置き換えることで、具体的にウェブ戦略を考えることができました。

11.22.2009

『のめり込む力』/川上真史

非常に素晴らしい本だと思いました。今、職場で人々が感じているであろう問題点を冷静に分析し、対処方法を提示しています。

本書の主張を簡単に言えば、以下のようになると思います。日本が成熟社会を迎え、社員の働く動機が変わってきている。また、仕事の難易度も以前に比べ格段に上がっているため、古いパラダイムの仕事論はもはや通用しない。なのに多くの日本企業は、これまで通りポストや収入といった「外的動機」に訴えることで社員の働く意欲を高めようとしている。今後は社員が自ら楽しむという「内的動機」を軸にした働き方がメインになる。そのためには企業側は感興を整備し、社員側も自ら楽しみを見つけることが必要になる、というものです。

個人的には、抽象的な事象を科学的に整理している点が良いと思いました。例えば、ソーシャルパワーを5つに分類し、正当パワーを発揮すべきという指摘。ストレスの問題をストレッサー(原因)とストレス反応(結果)に分けて考えるべきという指摘。

各章の終わりにポイントがまとめられており、要点を復習できるようになっている工夫も親切です。

10.24.2009

『村上式シンプル仕事術』/村上憲郎

正直ガッカリしました。グーグル日本法人名誉会長の仕事術ということで、少しは期待していたのですが。

タイトルにある「仕事術」に該当する内容は第1部のみで、分量としては本書の1/3程度。それもさらっと読めるので、立ち読みでも十分でしょう。

第2部と第3部はビジネスパーソンとして知っておくべき宗教と経済学の概論。ただし、著者の解釈を述べただけで詳細は他に本を読んで学べという姿勢なので、あまり親切ではありません。書籍紹介が目的と言っても過言ではなく、キックバックをもらっているのではないかと勘繰りたくなるほどです。

ガッカリの極め付きは第4章。文系人間をこれでもかというくらい小バカにしています。

この程度の人が日本法人名誉会長なら、グーグルも大したことないな、とまで思ってしまいました。

10.17.2009

Moleskine 2010。

少々気が早いようですが、2010年の手帳を購入しました。もちろん、モノはお気に入りのMoleskine。今年は目新しいソフトカバーを使用していますが、どうもしっくりこなかったので来年はハードカバーに戻しました。

仕事のスケジュールを立てるために必要になったというのが直接のきっかけですが、早めに先を見越して計画を立てられるというのはいいものです。年の瀬になってバタバタと手帳を選ぶよりは、はるかに心に余裕を持って新年を迎えられ、さらにはいい1年を過ごせるのではないかと思っています。

10.10.2009

『ザ・バンク 堕ちた巨像』

この春公開され気になっていた映画がDVDになったので早速レンタルして見ました。

欧州の巨大投資銀行の裏取引をニューヨーク市警やインタポールが共同で捜査するが、核心に迫りそうなところでいつも重大な関係者が殺されてしまう。最後はもはや主人公の執念で頭取にたどり着くが、頭取もトカゲの尻尾だったというようなオチ。

公開時は「金融危機を予言した映画」のような宣伝の仕方でしたが、直接的には関係のないサスペンス映画です。ただ、映画中に出てくる「みんなグルなんだ」「俺を殺しても次がいる」のようなセリフからは、メガバンクや大企業、そして政府までもが関与している“陰謀論”を想起させます。世界の暗部を告発しようという製作者たちの心意気が感じられました。もし日本の配給会社がそこまで考慮した上であのようなプロモーションをしたのだとしたら大したものです。でも、それならば『ザ・バンク 堕ちた巨像』なんていう本質とズレた意味不明なタイトルはつけないか…。

個人的には、ベルリン、ニューヨーク、ミラノ、イスタンブールなど大都市を舞台にした映像が見ごたえありました。どうも雰囲気や音楽のセンスが似ていると思ったら、この監督『ラン・ローラ・ラン』の人だったんですね。

9.18.2009

『日本の雇用--ほんとうは何が問題なのか』/大久保幸夫

非常に興味深く読ませていただきました。もっと評価され、話題になってしかるべき良書だと思います。

リクルートワークス研究所の所長だけあって、豊富なデータで裏づけを取りながら、現在の雇用問題について鋭く切り込んでいます。

特に印象に残ったのは以下の点:
・雇用ニーズは経済活動の必要性から生まれるのであり、経済の活性化を経ずに国が雇用を作り出そうとするのは愚行。
・短期時間労働のニーズがない日本にワークシェアリングは根付かない。
・失業者の7割は失業給付金をもらえていないという雇用保険の限界。
・非正規社員を「ある種の」正社員にすることで、正社員を多様化するという提案。

雇用されている人がそれぞれの立場から理論武装しておくのに最適な1冊だと思います。

ところで、この本は講談社現代新書から出ています。新書ブームの中ですっかり影が薄くなった気がしますが、僕が高校生の頃は新書と言えば岩波か中公かこの講談社現代新書しかありませんでした。最近はタイトルだけ刺激的で中身はスカスカという週刊誌みたいな新書が多い中で、本書のシンプルでストレートなタイトルと重厚で骨太な議論は好感が持てました。

9.15.2009

『こころを動かすマーケティング―コカ・コーラのブランド価値はこうしてつくられる』/魚谷雅彦

コカ・コーラは嫌いですが、コカ・コーラのマーケティングやブランディングには興味があります。また、著者の魚谷雅彦さんにも、以前に何かの本で目にして以来興味がありました。そんなことで読んでみたのがこの本。

世界最高のブランドとして知られるコカ・コーラ。しかし、本書では本家コカ・コーラのブランディングよりも、日本コカ・コーラのローカルブランドであるジョージア、爽健美茶、QOOなどの事例がメインです(その意味で「120年変わらぬ商品が、今も売れ続ける理由」という帯のコピーは、やや偽りあり?)。YouTubeで当時のCMを見ながら読み進めていきました。

面白かったのは、著者がアンチ・マーケティングとも言えるような通常のセオリーを無視したマーケティング手法を実践してきたこと。市場調査など科学的根拠を頼りにするのではなく、“直感”を混ぜながら戦略を決めていき、周囲の反対を押し切っていく。このあたりの精神は、B to Bのマーケティング関係者にも役立つ情報だと思われます。著者のマーケティングにかける思いには感服します。

残念だったのは、マーケティング・コストやCM効果による売上・利益率の推移といった数字の話がほとんど出てこなかったこと。売上に結びつかないマーケティング活動は意味がありませんから。潤沢な費用を投下していたであろうことは容易に想像つきますが、一般企業のマーケターの感覚からは大きく離れるかもしれません。

グローバル・カンパニーで活躍する人物のキャリア・ストーリーとして読んでも興味深いです。

9.13.2009

『グーグルに依存し、アマゾンを真似るバカ企業』/夏野剛

10年ほど前にiモードを立ち上げ、携帯コンテンツビジネスの土台を築いた著者が、いまどきのウェブ/携帯ビジネスについて物申した本。

ウェブさえ立ち上げれば何か始まると勘違いし、ウェブビジネスの本質を理解しようとせずに、肝心のユーザーを軽視してしまっている旧体質の経営者を糾弾しています。会社で(一応)ウェブを担当している僕にも耳の痛い指摘でした。うちのボスにも読んでほしい(日本語読めないけど)。

それにしても、この人は何をこんなに怒っているんだろう? 自分が日本のウェブ/携帯ビジネスを立ち上げたグルである、という自負心が鼻につかなくもないです。言っていることは正論なのにもったいない。感情的にならない、冷静な議論が待たれるところです。

6.07.2009

『ハゲタカ』

楽しみにしていた映画版『ハゲタカ』を見てきました。息つく間もないくらいスリリングな映画でした!

日本を象徴するような巨大企業アカマ自動車に中国系ファンドが敵対的買収を仕掛けてきた状況に、アカマの経営陣やメーンバンクはどのように対抗するのか。日本の基幹産業である自動車業界のノウハウを外に流出させていいものかという議論。それに加え、新旧ハゲタカが以前に同じ会社に勤めていたといった因縁などが絡み、登場人物がそれぞれの正義を貫こうとする様子が実にスリリング。

アカマ自動車は、個人的にはトヨタと日立を足して二で割ったイメージを勝手に抱いていたのですが、十分、現実に起こりうる話だと思いました。最後はウルトラCの秘策が飛び出るのですが、これもリーマンショックをモチーフにしています。上映中、自分だったらどのような解決策を提示するか考えながら見ていましたが、とても及びませんでした(苦笑)。

http://www.hagetaka-movie.jp/

6.04.2009

『新入社員はなぜ「期待はずれ」なのか』/樋口弘和

著者の樋口さんの講演を以前聞いたことがありますが、その時は、あまり根拠も示さずに思い切ったことを言う人だ、という印象を持ちました。

本書も同様です。自分の思い込みや意見をあたかも一般論であるかのように述べています。

タイトルからは今どきの若者を糾弾するような内容を想像しますが、企業側の採用・育成の仕方が悪いと訴えています。第5章の「優秀な人材を見抜く“雑談面接”」は、その状況を打開するための手法としてコンピテンシー面接を紹介しているのですが、実例が載っており非常に有益です。

ただ、現状の日本企業の採用や若手社員の育成方法を一刀両断しているのは気持ちいいのですが、あまりに根拠もなく断定的な物言いをしているので、人によっては反感を抱くかもしれません。また随所に自社の宣伝を挟みこんでいるのですが(他社はできていないけど、うちはできている的な)、それもややしつこいと思いました。

光文社新書は確かに面白い本もたくさんありますが、きちんとした裏付けのないままに出版しているという印象をどうしても持ってしまいます。

5.30.2009

『グローバルリーダーの条件』/大前研一、船川淳志

グローバル人材の育成に関して名高いお二人の対談だけに、内容はそれなりに面白いですし、役立つところも多々ありました。それでも、読後の満足度は決して高くはありませんでした。その理由は主に以下の2点です。

・船川さんが憧れの大前さんと対談したことで舞い上がっている感があり、いつもの船川節が少ない。

・両者とも言っていることはもっともなのだが、過去の著作やどこかで語られていることばかり。

ついでながら、英語はニュアンスを使い分けなければならない、と言っているにも関わらず例文の英語が間違っています(p125)。序章で、アメリカではしかるべき出版社なら1、2年もかけて厳しくチェックした上で出版すると述べており、あまりにも安易に売れそうな本を出す、と日本の出版界を批判しているのに、本書もその類になっているわけです。

5.09.2009

『ロジカルリスニング』/船川淳志

「聞く・話す・読む・書く」というコミュニケーションの4大要素のうち、実は使用頻度が最も多いのは「聞く」である。なのに教育での優先順位は一番低い。コミュニケーションの質を高めるためには、頭を使って意識的に聞くことが必要である。

著者は“ロジカルリスニング”という造語を提示して、積極的傾聴スキルの重要性を世に問いました。確かに「聞く」ための授業というのは受けたことがありません。

具体的には、Description(事実、自分が取り入れた情報を描写する段階)、Interpretation(解釈の段階)、Evaluation(評価の段階)というステップに分ける「D.I.E.モデル」、思考の放棄症・思考の依存症・思考の歪み・思考の偏りからなる「思考の四大生活習慣病」などのフレームワークを紹介しています。

解説も全般的に理解しやすいため、トータルで見れば良書だと思います。ただ残念なのは、全8章のうち半分は背景説明で、肝心の実践部分はやや少ないこと。入門書としてはいいと思いますが、これを読んだだけで飛躍的にリスニング力が増すまでには至りません。

4.14.2009

残念なお店。

得意先を接待するために、ランチに行ってきました。某タワー40階にある、決して安くはなかろう中華料理店。ところが、入店して席についてすぐに聞かれたことに驚きました。「食後のお飲みものはいかがなさいます?」。

何だってこれから食事を楽しもうというときに、食後のことを考えなければならないのでしょう? あくまで店側の準備の都合で、全然お客さんの立場に立っていない態度に興ざめしました。おまけに出てきた料理は味は悪くはないものの、とにかく量が少ない。中華の高級店って、なんでこうなんでしょう? もうあの店に行くことはないでしょう。

4.02.2009

リバプールがチャンピオンズリーグで強い理由?

今日の日経夕刊にリバプールのベニテス監督がチェス好きだという記事が載っていました。

なるほど、システムありきのターンオーバー制を敷き、グランドを広く使うあのサッカーは、まさにチェスそのもの。監督にとって選手一人ひとりは、チェスの駒のようなものなのでしょう。やたらと勝負強いところも、チェスで鍛えた勝負思考の産物か?

3.31.2009

春の訪れ。

2007年からずっとペンディングになっていたプロジェクトが1年半の眠りからようやく覚め、ついに動き出しました(何度目?)。途中何度もローンチの話があがり、その度に打ち合わせやスケジュール作成を重ねてきたものの、延期を繰り返し、狼少年と化していたプロジェクト。感激です。

3.01.2009

『一流の人は空気を読まない』/堀紘一

「空気を読まないことの重要性」という切り口で書かれた、実質的な堀さんの自伝です。テレビで見る堀さんは、歯に衣着せぬ物言いでインパクト大ですが、この本もそんな雰囲気に包まれています。

第1章と第2章は、よく見聞きする現状の日本批判。取り立てて新しい内容はないように思いました。ところが第3章以降、堀さん自身の経験談を交え出してから、一気に話が具体性と説得力を増し、面白くなりました。

勇気が湧いてくる本だと思います。

2.15.2009

人材立国シンガポールの衝撃。

いつも秀逸な、NHKスペシャルの「沸騰都市」シリーズ。今夜はシンガポール。東京23区とほぼ同じ大きさ、資源がなく、人口もわずか480万人というこの国が、人材立国という政策を徹底し、世界中から優秀な人材をかき集めている様が描かれてました。

2年前に一人当たりGDPで日本を抜き、アジアNo.1国家となったシンガポール。優れた研究者を驚くほどの厚遇で迎えると同時に、建設作業の労働者などは南アジアの貧しい国から低賃金で集めてくる。非常に“資本主義的”な政策は日本的な価値観とは相いれないものだと思いますが、それしか生き残る道がないだけに、リー・シェンロン首相(リー・クワンユーの息子)は迷いがありません。漢字もまともに読めない日本の総理とは大違いです。

そう言えば、留学中に友達になったシンガポール人は一人の例外もなく優秀でした。僕の会社のAPの本部もシンガポール。残念ながら、今の日本ではとてもシンガポールには太刀打ちできないというのが、僕の実感値です。

2.08.2009

『91%の社員は「ムダ!」である』/梅森浩一

日本企業はプロセス重視で、米企業は結果オーライと書いたところで、ちょうどタイムリーにそのことを裏付けるような本を読みました。『「クビ!」論。』という刺激的な著書がある梅森さんの近作です。

ビジネスにおける評価は他人目線。梅森さんが最終的に言いたかったのは、このことではないでしょうか? いかに自分が努力したつもりでも、結果が伴わなければ自己満足に過ぎない。その結果も、他人から見て成果と呼べるものである必要がある。この当たり前のことが分かっていない人が、ビジネスでもスポーツの世界でも日本にはあまりに多いような気がします。

「91%の社員はムダ」と断言する根拠は、日本企業の社員の91%がエンゲージメントではないという調査結果に基づいたもの。根拠としてはやや薄弱ですが、エンゲージメントの重要性を喚起しようという意図が込められているのでしょう。

2.07.2009

プロセス重視の日本企業と、結果オーライのアメリカ企業。

先週は、毎年恒例、人事のための年に一度の大会HRDに行ってきました。そこで、日米それぞれの企業が事例を発表するセッションを2つ聴講したのですが、どちらも日本企業と米企業という対比が鮮明に表れるものでした。

【日本企業】=プロセス重視。結果が出なくても、今回は運が悪かったためで、過程を大切にしていればそのうち結果は伴うはず、と考えるなどプロセスが目的化してしまうことも。

【米企業】=結果重視。プロセスも重視するものの、結果が伴わないプロセスは全く意味がないと考える。結果オーライ的なところも。

一般化できないことを承知の上で、すごく大雑把に言えばこうなるのではないでしょうか?

発表の中で、日本企業は取り組みばかりにフォーカスし、結果に対する考察はほとんどなし。プレゼンの仕方も、日本企業が文字だらけのスライドをほぼ読み上げるだけだったのに対し、米企業のスライドは図表が中心で、映像を交えたりユーモアも交えたりとインタラクティブ感たっぷり。

でも、最後の質疑応答では、日本企業の方に多くの質問が集中するのです。つまり、まだまだ日本的な企業が多いというのが実態なのでしょう。勉強になりました。

2.03.2009

『マネー力』/大前研一

話題になっていたので読んでみましたが、たまげました。

前半は日本人に、お金に関する意識改革を迫るような内容。明確な根拠が示されないながらも、鋭い舌鋒は大前節炸裂といった趣でなかなか読み応えがありました。

ところが、5章から先はビジネス・ブレークスルー大学院大学の完全な宣伝。卒業生の声で紙幅を稼いで、スクールへの勧誘を促す。結局、この本の中では実践的な資産運用スキルは述べられていません(スクールで教える、というスタンスですから)。勝間和代さんや中原圭介さんの本のようなイメージで手に取った僕は、腰を抜かしそうになりました。

それでも刺激を受けたことは受けましたがね。それにしても大前さんは商売上手だこと。