9.02.2010

『ワールドカップは誰のものか―FIFAの戦略と政略』/後藤健生

サッカーの見方が変わる本かもしれません。マラドーナがたしか90年W杯で準優勝に終わった後(別の場面だったかもしれません)、「サッカー界にはマフィアがいる」と泣きながら訴えていたと記憶していますが、本書を読んでその意味するところが分かったような気がします。

と言っても、本書はサッカーの本というより、政治や外交の本といった方が適切かもしれません。特に面白いのは第1部「ワールドカップと政治」で、W杯という巨大ビジネスの舞台裏でFIFAがどのような戦略をとっているか、またFIFA内でどんな権力闘争が繰り広げられているかが描かれています。あの疑惑の判定は、あの日程・組み合わせは、実は仕組まれていたのか?なんて数々の場面が脳裏をよぎったりしました。

逆に第2部「南アフリカ開催の意義」は、もはや南アW杯が終わった今、積極的に知ろうとするモチベーションを保てませんでした。結局「ワールドカップは誰のものか」というタイトルに、明確な答えを出していないのも残念です。